表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/414

覚醒の形5~語られる真実~ 1

2062年3月26日


 いつもと同じ、気怠い朝がやってくる。

 昨日はあの後、怪我した足をかばいながら自分の足で目の前の病院に赴き、とりあえず検査入院をすることになった。

 足の方は骨にひびが入る程度で済んだようで、安静にしていれば完治までそう時間がかからないだろうとのことだった。

 

 今月で既に3回も病院にきている。もうすっかり顔なじみな気がするが決して自慢できることでも誇れることでもない。

 昨日の自分との戦いというもう経験できないであろう出来事を何度も頭で思い浮かべつつ、純白のベットに寝そべりながら考え事をする。

 昨日のことをすべて鮮明に覚えている。《愚者》の言葉も、だ。

 あの試合中にだけで聞きたいことがいくつかあった。

 

 (なぁ…フール…聞こえるかい?)

 『何か用か?』

 《愚者》からの返事はすぐに返ってくる。

 (正直に答えてほしい。あの試合中に君は言ったよね?「あれはオマエ本来の能力だ」って。説明してほしいんだ!いったいどういう事なんだい?)

 《愚者》に詰め寄るように問う。先程より返事が遅かったような気はする。

 『長くなるが構わないか?』

 (うん、大丈夫だよ…。)


 『そもそもの話をしよう。我が初めてオマエを見出したのは約10年ほど前の話だ。その日は二人の子どもの天然結晶とやらの能力が開花した日でもあった。椋、オマエと七瀬沙希の二人だ。我は惹かれるようにその二人のもとに向かった。そこで見たのは酷いとしか言いようがないものだった。当時天然結晶の能力がまだ開花していない状態の子どもを拉致し、海外に高値で売り飛ばすという犯罪が流行っていてな、それの被害者としてお前たち二人はあるグループに拉致されていた。』

 (待って……俺にそんな記憶がないんだが…。)

 脳内をいくら漁っても出てこない記憶。正直信じられないというのが本心だった。

 『最後まで話を聞いてから言え。』

 (あ…あぁ、ごめん。)

 《愚者》の冷静な対処に椋は悟る。この話の先になぜ記憶がないのかも含まれているのだ。

 ここからはおとなしく、《愚者》の話を聞くことにする。

 

 そして《愚者》は語る。《愚者》が初めて椋に接触した日のことを。


 

 

 

 

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ