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 まっくらな中を進むと、そこには階段があった。

 椋がそんな物に気が付くわけがなく 「うぉ」と間抜けな声が出てしまう。

 「ああ、すいません。階段があるのでご注意ください。」

 と和田が今更ながらに注意を飛ばしてくる。

 しかし、相手は一応面接官だ。失礼な態度をとってはいけないと思い、反抗心をグッと抑え手すりを頼りに暗いくらい階段を上った。


 長くもなく短くもなく。1分ほどでその階段を上り終た3人に和田が告げる。

 「はい。到着いたしました。急にまぶしくなるので、目を閉じてくださいね。」

 とだけ言うと、和田が黒い空間に手を置きそれをグッと前に押し込む。

 再び大きな両開きの扉があき、明るい光が一気に飛び込んでくる。

 

 今日で何度驚いたことだろうか。

 上には空が広がっている。

 周りには結構な高さの塀が聳え立っていて、屋根がない。

 『確認の間』というだけあって、完全に室内と思っていた椋は呆気にとられてしまう。

 ほかの二人も空を見上げているのが精いっぱいといった様子だった。

 正面には大きな両開きの扉があり、今は固く口を閉ざしている


 パンパンッと和田が手をたたき、注意を向けさせる。

 「では試験内容を発表します。」

 3人の顔が一気にきゅっと引き締まる。

 「今回、筆記の試験は存在いたしません。今からここに3人の人間が訪れます。それぞれ1対1で能力を使って戦ってください。相手を撃退する、もしくは10分以上持ちこたえることができれば合格という事になります。」

 椋と沙希に衝撃が走る。真琴から聞いていた限り、彼女は面接、筆記、実技の試験を受けたと言っていた。

 もしかしたら一回一回試験の内容が違うのかもしれないが、それでも変わりすぎである。

 「もしどちらかが塔から落ちてしまったらどうなるんですか?」

 と思ったより冷静な顔で契が言う。

 「転落の危険性はありません。見えないかもしれませんが、ほぼ透明な膜が一面に張ってあります。衝撃の吸収力も結構なものなので、破れる心配もありません。存分に戦ってください。」

 和田が短い体で、必死に説明している。

 椋はそこまでいうのだから大丈夫だろうと思い、次の和田の指示を待つ。


 「では登録順に行きましょうか。まずは永峰契君、前に。」

 と和田が催促し、契が前に出る。

 

「お二人には目隠しをしていただきます。試験に公平性を持たせる為なのでご了承ください。」

と和田から黒いアイマスクを手渡され指示にしたがう。

しかし、不思議な点があった。

なぜ耳は塞がないのだろう?


そう思っている間に、ギギギィと重そうな、反対側の扉が開く音がする。


「そんな……………。」

と契が震えた声でなにかを訴えようとしてくる。

しかし、和田がそれを遮るように

「試験内容を口頭で伝えるのはルール違反です。次疑わしき状況になった場合、即刻失格とさせていただきます。」

とさっきまでとは違う迫力のある声で、契に注意を飛ばし、続けて

「初めてください。」

とだけ言い、契の足音が『確認の間』に響いた。

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