表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/414

17

 高らかに叫んだわりに現象はいささか規模の小さいものであった。


 部屋を覆い尽くしていた金色の光は、ベッドの横にあるテーブルの上で小さく小さく凝縮されていく。

 

 光の密度が高くなるにつれて、光が人の形を模していく。

 部屋中すべての光がそこに集まると、そこにはとても小さい物でった。

 大体350mlのアルミ缶くらいのサイズまで小さくなっただろうか。

 性別の区別がつかないが、たぶん男であろう小人がちょこんと座っていた。


 頭には大きな王冠をつけている。

 がそれに反して身に着けている服はピエロのようなカラフルというよりはエキセントリックな衣装であった。

 黄色と赤のひし形が交互に並んで1つの服を形成している。

 しかし、ピエロのように顔は白塗りされてはいない。


 かわいらしい小人がピョコッと立ち上がると、椋の方を向いて語りかけくる。


 「初めまして…か?我が憑代よ」


 何となく予想はしていたが、やはり驚きを隠せない。


 「君が…《愚者》…なのかい?」

 「それ以外に何がある?」


 脳内では常に、息濡れ声のようなウィスパーな声だったが、こっちでははっきりとした声でしゃべっている。

 男?にしては少し高いくらいの声だ。


 「これが君が貸してくれるって言ってた能力なのかい?」

 「そうだ。お前たちの世界で言う召喚(サモン)系能力だ。それと君と言うのは止めろ。フールでいい」

 「あっ…ああ、わかったよフール。で、この能力を使ってどういう風に母さんを説得しろっていうんだい?」


 飛んできた質問に、フールは呆れ顔で答える。


 「お前はバカか?お前たちの天然結晶(ナチュルマテリアル)とやらに宿る能力は基本的に1つなのだろ?しかしお前は今二つの能力を所持している。しかもその例外中の例外だ。お前の『光輪の加護』は特殊系。普通1人の能力者が複数の系統の能力を使うことはできない。これは我らを宿したものの特権だ。これで分かったか?」


 フールの言葉はきついがすごく丁寧な説明に椋は首を縦にコクコク振るしかなかった。

 

 「お前の母親に2つの能力を見せてやれ。それだけで大丈夫だ」


 彼の自信満々な発言に背中を押され、一度フールには戻ってもらい、京子が病室を訪れるのを待った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ