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 そんな表情も奥に沈め、契は続ける。 


 「僕が原石の解析を行っていた時、見つけてしまったんだ。本来の七罪結晶とは明らかにプログラミングの種類の違う……なんというかあまりにも不自然なコードをね」

 「不自然?」


 椋の疑問に、契は少し考えた後、言葉を発する。おそらく分かりやすそうな答えを脳内で構築していたのだろう。

 

 「簡単に言えばジグソーパズルだ。どれだけ細かいピースのパズルだろうが、たった一つ違うパズルのピースが混じっただけで猛烈な違和感を発生させる。それと同じで、明らかに違う人間が、より進歩したフォーマットのプログラムを原石に上書きしていた」

 「それはつまり、ごく最近書き込まれたものってことか?」

 「そうなるね。人工結晶が製造されてから約30年、七罪結晶が開発されたのは約10年ほど前らしい。七罪結晶に刻まれていたプログラムもかなり高度なものではあったけど、フォーマットが明らかに違いすぎる。それを見つけた僕はそのプログラマーの癖を探して誰がそれを書き込んだのかを確認しようとした」

 「そんなこともできるのか……」


 契の発言、いや、能力にはいろいろ驚かされる物があるわけだが、これまでの発言をまとめていくと、彼は少なからずこちら側、七罪結晶を排除しようとする側の人間のはずだ。

 自分では答えなど出せる訳もなく、考えているあいだに契は語りだす。


 「見つけたんだよ、その人間を。名は小々馬雲仙(こごまうんぜん)。廃材のような原石の屑でさえも、そのプログラミングの技術で宝石に変えてしまうという最近注目を集めてる天才少年だった」


 それを聞いた瞬間に椋は全身が凍りつくような感覚を覚えた。その言葉には含まれてはいけない単語が入っていたからだ。


 「天才少年?それをプログラミングしたのは子供なのか?」

 「そう、アーティファクトアーツ社が研究員として雇っている。確か今年で12歳だったかな」

 「まだ小学生じゃないか……」

 「そう、いくら天才少年だろうが小学生だろうが明らかに意図のおかしいプログラミングだったものだから問い詰めに行ってきたんだ。アーティファクトアーツの本社にね…………。それが罠とも知らずに……………」

 「罠?」


 引っかかる単語を口に出し、それの真意を契に問う。

 全て話してくれる気でいる今だからこそ、全てを聞きたいのだ。

 彼が再び七罪結晶に意識を飲まれる前に、はっきりさせておきたかったのだ。彼がどちら側の人間なのかを。

  

 

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