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 「そんなこたァどうでもいいんだ!!やるぞ!!」

 「はい!!」

 

 雁金さんから飛んできた言葉を受け止め、行動に移す。


 《愚者》から言われた作戦はこうだ。

 ①正の《隠者》雁金悠乃がまず召喚獣のうちどれか一体を『隠者の隠れ家』でどこかかなり遠くまで飛ばす。②召喚獣が消えてから、エンヴィが再召喚するまでの間に椋がエンヴィを攻める。至極単純だ。

 

 しかしシビアなことには変わりない。

 本当に一瞬しかチャンスはできない。そのうえどれが正体なのかもわからない。三体同時に飛ばすこともできないではないが、それはエンヴィから余裕を奪うことになってしまう。

 攻撃が来るとわかっているタイミングで避けないバカはどこにもいないだろう。

 要するにある程度の心の余裕をエンヴィに与えつつ、召喚獣Xが消え、障壁が消えたタイミングでどれか結晶を破壊してしまえばいい。

 どの召喚獣が障壁を生み出しているのか、それを特定しさえすればヒットアンドアウェイを続け、計3つの結晶を破壊しつくせる。

 簡単に行くとは決して思ってないが、確かに今考えうる最良の手段なのだろう。


 「まずどれから行く?」

 

 少女が少し口元を締め、眉間にしわを寄せてから飛ばす質問。おそらく、自分よりも長く七罪結晶に関わってきた椋の意見を煽りたいのだろう。冷静に考えて、入学後の最初のイベント、閣僚対抗自愛の最終戦、黒崎との戦いで尾裂狐にそんな能力はなかった。というか、そんなもの使われていたら確実に勝てなかっただろう。

 そうなると、犬神もしくは耳無豚。この先は未知数。ならば消去法で攻めるしかないだろう。

 

 「犬神から行きましょう」

 「了解」


 雁金さんは椋の意見を首を上下に振りながら肯定すると、ふと構えていた右手をぱっと横に開く。


 「『秘匿匣の秘弓』シークレットガジェットボウ!!」

 

 少女の力の入った叫びとともに放たれる若草の光。彼女の後ろにいる椋からはしっかりと見える。立方体の謎の物質が彼女の右手に形成されていくのが。

 

 「アタイが戦いながらスキを見て合図を送る。それからピッタリ3秒後に対象物を転移させる。わかったな?」

 「はい!」




 

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