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 ○~○~○~○


 同日同刻 所職員塔前


 しっかりと時間が決められている中、島に常駐する教師たちが遅刻などする訳もなく、この時間帯は職員塔周辺には人影一つない。もうすぐ始業のチャイムがなり、授業が始まる頃だろうか。

 結構時間に余裕を持って出たため、後10分弱は時間がある。


 「椋さん」


 後ろから不意に声がかかる。

 聞きなれた声。すぐに誰なのかを理解し、振り返りざまに彼女の名前を呼ぶ。


 「乙姫?授業は大丈夫なのか?」

 「はい。連絡入れてありますから」


 かなり長い銀髪を揺らす少女は右手の小指に装着された天然結晶から炎のようなオレンジがかった結晶光を漏らす。

 自由に空中を飛び回る火の玉は次第に小さな鳥を形成する。


 「そういえばこうやって乙姫の能力見るのってこれが初めてだな」

 「そうでしたか?私はもう何度もお見せしていたような気がするのですか?」

 「初めてだよ。鶯だったっけ?」

 「はい」


 彼女は完結にそう答えると、赤いちいさな鶯を自らの右手にとめる。


 「ブッシュ!」


 鶯の名前だろうか?彼女がそう叫ぶと、鶯は小さな体の翼を大きく広げ、羽ばたき始める。オーバーに大きな動きはまるで椋になにかを送っているようにも見える。その何かは時が経つにつれ、鶯の結晶光で赤く染められ目に見える形になる。そうまるで村本が先日椋に使った時間をはやめる能力のように自然に体に馴染む。暖かな光は1分ほど椋の体を巡り、落ち着く。


 「今のは?」

 「自然治癒の向上能力です。いや、再生能力といってもいいかもしれませんね。指がちぎれるくらいならすぐに生えてきます」

 「それって再生っていうのか?」

 「まぁ、これから七罪結晶の回収に当たるとのことなので、私からの贈り物です。役立ててください」


 彼女はにっと笑顔を零すと、そのまま踵を返し、校舎棟へと向かい歩いていく。

 

 「頑張ってください!!応援してます!!」

 

 背を向けたままそう言うと、乙姫は駆け足でその場から消えていった。


 (ありがとうって言えなかったな……)

 

 まあ、帰ってきてからでいいや。実現可能化などわからないそんな事を自然に頭に思い浮かべながら、椋は時間が迫ってきているため校長室へと急いだ。

 

 そんな椋が立ち去った職員塔。始業のチャイムが鳴り響き。全くと言っていいほどに人がいないその空間に突如として人が現れた。

 白地のローブ。その純白を汚すまるで地にはう木の根のような無数のラインが、乱雑に走る。その顔面はローブだけではなく、装備された仮面によっても隠されていた。

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