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2062年3月18日
昨日はあの後、椋が話ができる状態じゃなかったという事で解散し、集合場所は椋の病室、時間は昼の1時とし、明日落ち着いてからもう一度話をしようという事になった。その後自分の行動が恥ずかしくて一人ベッドで悶えていたのは言うまでもない。
今日は真琴の後ろに優奈が付いてきていたため、4人で話を進めることになった。
今回の議題は、この前の事件発生から今日までの沙希の体験をとりあえず聞いてみようという事になった。
これまで椋、真琴の話を聞いたが、いまいち情報が足りないため、沙希の情報もほしかったのである。
「私は、椋が逃がしてくれた後、鞄は倉庫においてきちゃったから急いで公衆電話に向かって通報、その後椋のもとに向かった。救急よりも早くつけると思ったからね」
「まぁ、そこまでは大体予想はつくけど…」
口をはさむ椋だが、真琴が睨めつけてきたため、とりあえずリアクション入れずに最後まで聞くことにする。
沙希曰く、
通報した後、沙希自身は救急車に乗り椋と一緒に病院に来たそうだ。
その日の夕方からニュースで事件が流れ始め、それが事実と違う内容だと気が付き、すぐに警察に行ったが取り合ってもらえず、それから毎日警察に抗議に言っているらしい。
現場には沙希がいた証拠がいっさい残っておらず、沙希はただの第一発見者として扱われているらしい。
今日も一度警察に行っていたらしい。
やはり何者かが情報操作を行ったみたいだ。
しかも沙希がいた形跡を完全に消滅させることができるほどの実力者だ。
なんでそんなやつがこの事件になんでかかわってくるのかはわからないけれど、もっと詮索していく必要がありそうだ。もしかしたらそいつが小林達の記憶を消したのかもしれない。もしかしたら小林を操っていたのかもしれない。
4人で必死で考えたのち、今のままでは結論が出ないという結論がでてしまったため、次の議題に映ることにする。
といってもこれは椋が個人的に知りたいだけなのだが。
「なぁ、真琴1つ質問してもいいか?」
「うん 、構わないけど…そんなに改まって何?」
「俺たちが知らない能力の事とかをさ、なんで知ってたんだ?」
真琴の言葉が詰まる。横で黙り込んでいる優奈でさえ少し気まずそうな顔をしている。何か特別な事情があるのかもしれない。
少々気まずい空気が流れている中、真琴がその固く重い口を開いた。




