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(――――?)
自分に起こった謎の衝動が完全に理解できない。一度叫んだことで少し冷静になった頭で考える。
自分でも何に怒っているのかも全く理解できなかったのだ。七罪結晶の所持者言いたいわけではない。被害者であり容疑者である永棟契に言いたいわけでもない。なにより自分に言いたいわけでもない。
なのに何故か湧き上がるような怒りが心の奥底から湧き出てきたような、制御のきかない心が暴れだしたような。本能に従うままに叫んでしまった。
さっきまでの空気がまるで嘘のように冷たく静まり返る空間。気まずそうな金田。状況を冷静にみる新田。
そんな空気を打ち破るように真琴が叫んだ。
「アンタが!!アンタがそんなに弱気でどうすんのよ!!」
一喝のお陰か、また少し頭が冴える。
「ごめん……」
今言えるで有ろう最善の言葉。不思議な衝動の理由も理解できない。そんなに自分はストレスに晒されていたのだろうか?
自分自身では理解することも出来ないそんな部分に疑問を感じるが、今はむしろスッとして心地いいくらいだった。
「アンタはなんのためにここまで頑張ってきたのよ?」
語りかけるように静かにそう言う真琴。そう言われて再び考え直す。思い浮かぶことがらは二つ。
「契を……契を助けるため。みんなを危険にさらさないために……」
紡がれる言葉ははっきりとしたものではなかった。
しかし真琴はしっかりとその言葉を受け止める。
「アンタがまだそう思ってるならそれでいいの。怖いなら誰かを呼べばいいし逃げたいなら素直に逃げればいい。例え学園中が的に回ろうと、少なくともこの寮内の人たちはアンタの味方をしてくれる。結局この選択から逃げることができないのは確か。でもどっちに転がろうとアンタの味方が消えることは絶対にありえない。それだけ覚えておきなさい」
そう言って真琴は湯呑を持ち立ち上がると、新田に「お茶アリガト」と一言いい湯呑を流し台に置くと、部屋をあとにする。
「金田!アンタも来んの!早くしなさい!!」
かなり大音量なその言葉に女装金田が反応し、彼も真琴と同じように新田に一礼入れ湯呑を流し台に置くと部屋を出ていった。
じんわりと伝わってくる真琴の優しさ。ふと訪れた安堵のせいか、不思議と涙がこぼれそうになった。




