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 「入るわよ!」


 と、なんの許可もなく侵入してきたのは柊真琴。せっかくベルがついているんだし、せめてノックぐらいしろよとも思うが今はどちらかというと来て欲しいというのが正直な気持ちだ。学校に行く準備は出来ているのか、カバンを携え黄色いラインの入った麒麟の制服を綺麗に着る真琴。

 

 「おはよう………痛っ…」


 軽快に挨拶をしようとベッドの上で右手をあげようとするが、猛烈な痛みが全身に走る。


 「大丈夫なの?」


 冗談には見えなかったようで、それなりに心配しているといった様子で言う真琴。

 

 「もちろん大丈夫だ!」

 「まぁそんな口たたけるくらいには元気なんでしょ」


 と手近にあった椅子を手に真琴は椋のベッドの横に来る。椅子に腰掛け、カバンの中からあるものを取り出す。


 「真琴が持っててくれたのか」


 緩やかな曲線を描き艶やかに黒光りするそれはまごう事なく七罪結晶コードネーム《色欲》だ。昨日戦闘後に白虎の制服の胸ポケットに入れておいたはずなのだが。


 「アンタの胸元で結晶が再生して制服貫いてたからね。回収せざるおえなかったの」

 「すんごいシュールだね」

 「あんたが想像してる5倍はシュールな光景だったわよ。なんであんなところに入れたのかしら…………」


 ふとその光景を頭に思い浮かべると、じわじわとくる何かがある。笑ったりしたら痛いので抑えるが、とりあえずやらなければいけないことがあるわけだ。


 「やっとこれを使う日が来たのか……………」


 そう言って椋が枕の下から取り出したのは対七罪結晶用封印装置、《七徳集箱》なるものだ。

 花車学園校長村本によれが対応する結晶と対になる結晶を半径3センチ以内で10分間放置だったか?もうかなり前の出来事なので記憶は曖昧だがまぁそんなところだったはずだ。


 箱あけ、《色欲》に対応する結晶を探る。綺麗に収められている7つの純白の物質の中で《色欲》と同じ形をしているもの。charity《慈悲》。《色欲》と同じく緩やかなカーブを描くカチューシャ型のそれを取り出す。


 「コレで…………いいんだよな………?」


 真琴から手渡された《色欲》

 椋がその手に持つ《慈悲》


 二つをようやく掛け合わせる時が来た。


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