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 真琴は、携帯の投射機を使い、白い壁をスクリーンにして、解説を始めた。


 「まず、この世界には、42種類の特別な力。まぁ超能力みたいなのが大昔から存在したわけ。昔の人は魔術やら神の力みたいなこと言ってたらしいけどね」


 ぶっ飛んだ話を始めたな…と思いつつ、話はしっかり聞く。


 「その能力の存在を後の世代に伝えるために、昔の人は、その能力の特徴を書き、ある21種のカードを作った」


 さすがの椋もピンときた。


 「それがタロットなのか…」

 「そういうこと。でその21種類は、《魔術師》《女教皇》《女帝》《皇帝》《教皇》《恋人》《戦車》《力》《隠者》《運命の輪》《正義》《吊るされた男》《死神》《節制》《悪魔》《塔》《星》《月》《太陽》《審判》《世界》。それぞれに正と負の2種類がある。この能力は、能力者が死ぬまで体内に宿り、その人が死んでしまったら、次の人に移るの。もちろん適性があるのよ?」

 

 指を折り、真琴が並べた単語を指を折りながら数えていたが、彼女の言葉が止まった時に、ふと疑問が浮かぶ。


 「《愚者》は21種に含まれないのか?」


 真琴に問うと、


 「愚者は、過去1度だけしか現れなかったらしい。これもあくまで『らしい』だからね?だから《愚者》を伝えるべきかは議論を呼んだようだけど、№0ってことで収まったみたい」


 ほう…と納得してみせるが、時間がたつにつれてとんでもないことだとわかっていく。


 「で、それが俺の中に……」

 「そう。《愚者》の適正に合格できる人がいなかったって話だけど、たしかにアンタならクリアできてたのかもね」


 再び疑問がわいてくる。


 「その適性の内容って?」

 「タロットに示されている、正なら正位置、負なら逆位置の意味と同じ性格の人に適性があるとかないとか。まぁこれはあくまで推測らしいけどね。」


 さらっと流すように真琴が言った


 「で、この《愚者》は正か負どっちなんだ?」

 「さっき言ったでしょ?『この21種類には』って。《愚者》には正負がないの」


 クエスチョンマークが椋の頭上に浮かぶ。


 「じゃぁ、《愚者》の適正ってなんなんだ?」

 「《愚者》は特別だから、正位置に能力の特徴、逆位置に適性が記されているの」


 さっきからなぜか真琴が適性の内容を隠そうとしている気がする。


 「で…《愚者》の逆位置の意味は?」


 真琴の肩がびくっと跳ね上がる。


 「そんなこと気にしなくていいんじゃない?合格したみたいなんだし」


 少しあわてたように、椋の興味を別のものにそらそうとする。

 しかしそんなにあからさまに隠されては、逆に気になってしまうものだ。


 「いや…一応知っておきたいし」


 と椋がボソッと言うと、真琴が覚悟を決めたような顔で、椋に向かって罵声を浴びせるように叫ぶ。


 「軽率!愚行!気まぐれ!落ちこぼれ!無節操!逃避!優柔不断!無責任!わがまま!落ちこぼれ!」


 反論する暇もないくらいの暴言を浴びせられた気がする。

 心が痛い………


 (なんで落ちこぼれだけ2回も言ったんだ…)


 そんな、聞いてはならないことをつい漏らしてはいけないように、心の戸棚の3段目くらいに収納しておく。


 (聞かなきゃよかった……………)

 真剣にそう思った。

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