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 しかしまぁ止めなければならないのは事実なわけで、猛烈な睨みをきかす真琴の近づく。


 「真琴!一旦落ち着け!」


 そう言いながらそろそろと回り込み、金田を挟むような形で真琴とのにらみ合いを開始する。もちろん真琴は一度頬ずりを止めとんでもない顔で睨んでくるわけだが、こんなとこで負けるわけにはいかないのだ!

 


 「落ち着けよ………」


 動物を宥めるように先ほどの言葉を連呼しながらゆっくりとその距離を縮める。

 

 「シャァァァァアアアァ!!」

 

 まるで猫が威嚇するかのような声を上げ、こちらの進行を妨げようとする。

 本来ならここからフェイズ3の接吻に入るはずなのだが、流石に金田にそれをするのは人間としてどうなのかと自分でも感じているのだが、いつもよりも平均的に進行のスピードが遅い気がする。


 「俺たちの目的を思い出せ!!」

 

 叫ぶ。そう、ここでこんなことしてる場合ではない。少しでも時間を無駄にはしたくない状態でこの状態は正直面倒である。

 


 「グウウウウゥゥゥゥ………」


 と唸り声が徐々に失速し、どうにか収めることに成功し、安堵の一息をつく。

 で、ここからが問題だ。冷静になった彼女はこの状態をどうごまかすのだろうか?その場に倒れこんだ金田になんと説明するのだろうか?実に見ものである。


 「…………………」


 2人と、気絶したもうひとりの間に、かなり気まず目な雰囲気が漂う。


 「…………………なんか言えよ」


 ぼそっと椋がつぶやく。この状態を解決するには、真琴が金田を起こし、しきり直さねばならない。


 「いや……あの………」


 流石に真琴もこの状況のまずさを理解している。先ほどの金田のように手をバタバタと動かし何かを思い出そうとしているように見えるが、思考が混乱しているのか、その一言がなかなか出てこない、といった様子だった。


 「…………………ッ」

 

 金田が2度目の気絶から回復し、目の前でワタワタとしている真琴に目をやる。そして思考停止。そして思考再開。一時的に忘れていたつい1分ほど前までの状況を徐々に思い出していく。


 「うぅぁぁぁぁぁああぁぁ!!」


 ものすごい声を上げ、腰を抜かし、逃げられず、再び叫ぶ。断末魔のように。

 必死に上半身を動かし、もがき逃げようとする金田。

 それを見た真琴もさすがに困った顔をし、ワタワタをとめない。


 彼女が脳の奥から絞しだした言葉。


 「…………………ちゃうねん……」

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