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罪機崩し4~《色欲》、窮地~ 1

 ゴォォォォンゴォォォォンゴォォォォンゴォォォォン

 4度の低い鐘の音がなる、4限目の授業が終わりを告げた合図だ。


 と言ってもこの場にいるメンツは4限どころか今日1日授業を受けていない。理由はあるにせよ完全なるサボりである。


 辻井椋、柊真琴、金田雅の3人は昼食戦争が行われるその前に食堂でパッパとお昼を済まそうとしていた。

 あまり人目につきたくないという点もあり食堂限定トンカツ弁当なるものを購入し、食事は外でとることになった訳で、今はその場所を探している最中だ。そんなこんなで現在3人は校舎棟白虎区をフラフラとさまよっていた。


 「ちょっと金田!」

 「へい姉さん!なんでしょう?」


 真琴の呼び掛けに頭を低くし金田が尋ねた。なぜだか真琴の説教をくらったあとから急に真琴のことを『姉さん』と呼ぶようになった金田。もう完全に弟分キャラが染み付いているように見えるのはきっと椋だけではないはずだ。


 「いい加減疲れてきたの!ここらで落ち着いてお弁当食べれる場所はない?」


 表情には決して見せていないが、校舎をめぐり始めた頃から所持者を断定し尾行を諦めた時まで長い間『可視化の片眼鏡』を使用し続けていたのだ。彼女が疲れるのも当然だろう。金田はそんな真琴の弱点は知らないわけで、彼から見たら真琴は単なるワガママ姫として写っていることだろう。 


 「そうですね……静かなとこのほうがいいですか?」

 「そうね。できたら少し作戦会議もしたいし……」


 そう、この昼食は今先程始まった昼食の時間も含む長めの業間休憩、そして午後の活動をどのようにすすめるかの会議をする為の場でもあるのだ。

 人混みは避けたい。周りと一定以上の距離を取れる。それが叶えばどこでもOKだ。こう望んでいる条件も結構厳しい物のはずなのだが、金田はやけに自慢気な表情を漏らしている。


 「それならちょうどいいところが!」


 その感情をそのまま表に出したかのような発言をする金田。中性的な容姿の彼のそんなドヤ顔は一部男子にも受けるであろう可愛げのあるものだったわけで、そんなのに反応しないわけがない女子が隣にいるわけなのだ。


 「…………………」


 真琴が黙り込んで俯く。


 「どうした、真琴?」


 彼女の肩を叩き様子を確認しようとする椋がその異変に気がつく。耳に届くかすかな声は一部の者の恐怖を誘い、その一部の者は真琴のこの形態を悪魔と呼んだ。

 椋はこの唸るような鼻息を、荒らげた息遣いを知っている。


 「逃げろ金田君!!」


 全力で叫んだ。

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