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 「(けど実際どうすんのよ!これ以上近づけないじゃない!)」

 

 真琴が小声で叫び椋を睨む。確かに面倒なことには変わりないわけで、もしこれ以上接近し長髪の男含め4人のうちの一人にでもばれてしまえば相当面倒なことになるに違いない。


 スパイと言うのは超が付く程高収入なのだがそれに見合い相当高リスクなものなのだ。自ら進んでするものは数少ないと言って良いだろう。自寮の情報を外に流すことで情報を受け取る側から報酬をもらう。そんなどこぞの映画みたいなことがこの学園で常に行われている。

 しかしこの職の存在は実に貴重なものなのだ。街の様子、会議の内容、様々な行事の選手の参加予定表から作戦指揮までほとんどすべてをつたえる存在。この存在が行事を面白くし皆の士気を高めることだってあるのだ。

 スパイにどれだけウソの情報をつかませそれを多量に流すか。逆にどれほどの情報を持って帰ってこれるのか。どれだけ騙されないでいられるのか。それをすべて読んで作戦を組み勝利をつかむ。まあそんな感じで意外に容認されているモノなのだ。

 もちろんスパイの顔が割れればその時点でぼっこぼこにされてしまうわけだが。そのスリルを楽しむためにさっそくスパイになったバカがうちの寮に一人いるのだがその話はまた今度だ。


 もちろん長髪の男、おそらくは白虎のスパイ。その存在が公に晒されてしまうわけにはいかない。

 もちろん玄武の方も情報を受け取る人間、つまりは諜報活動を行っている玄武生の面子が割れてしまえば、そのメンバーは積極的と言うかしつこいほどに白虎から狙われることになるという風習が出来上がってしまっているため、見られることをあまり良しとしない。


 これはつまり今の状態がとっても面倒くさいという事だ。

 尾行は続けたいところではあるが、あのデブ3人のうちにもしも探知系の能力者が居ればその時点でOUTだ。おそらく自棄にでもなりこちらに襲い掛かってくるだろう。今この状態ならば普通は逃げ出すべきなのである。

 しかし長髪の男は七罪結晶コードネーム《色欲》の所持者。特徴的な面持ちとは言え、第何寮に所属しているのかも何年生なのかもわからない。公に情報収集もできない状態でこれほどの好機を逃すわけにはいかない。


 真琴、金田の安全を第一に取りこの場を去るべきなのか。

 情報収集を優先し、危険に踏み込んででも先に進むべきなのか。


 『光輪の加護』さえ使えば二人を連れて逃げることなど実にたやすいことなのだがそれでも少しでも二人を危険な目に晒すことには変わりない。


 即決するには実に難しい問題に直面していた。


 

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