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 (俺が知ってるのは召喚獣が『傾山羊』(ピンザ)、つまりはヤギっていうことだけ、詳しいスペックとかそんなのはわからないかな……)

 『そういえばうちの寮の寮監も『傾山羊』は製造の段階までしか見ていないと言っていたな』

 (そう……何も情報がないっていうのは結構厳しい状況だよね……)


 電車待ち列が一向に進まない中フールとの話を進めていく。


 『七罪結晶は名前で見る限り全て妖怪で統一されている。それに当てはめるならピンザは日本の伝説だ………』

 (妖怪?そうだったのか?)

 

 初耳で意外なる共通点があったことに少々の驚きを覚える。最初のうちに行っといてくれれば考えようがあったものを……。


 (そういうことは最初に教えといてくれよ………)

 『お前が聞かなかったのだろう。我に責任を押し付けるな!』

 

 フールの声が真琴に感化されたかのようにイライラしたものに変わっていっている。

 

 (で、そのピンザってのはどんな妖怪なんだ?)

 

 彼がピンザという名前が妖怪だということを知っているのならそれがどんなものなのかということを知っていてもおかしくない。そう思っての問いだ。


 『そうだな……簡単に言えば頭を飛び越えられたら死ぬ。そんな妖怪だったはずだ。しかし多分これは傾山羊としての能力にはないだろう……』

 (どうして?形と名前だけってこと?)

 『そういうことだ。黒崎戦での尾裂狐、あれが九尾の妖狐だということは直ぐにわかっただろ?』


 電車街の列がようやく動き出し、徐々に先進していく。フールの話に集中しつつも列に遅れないようにあゆみは止めない。

 

 (そうだね。そういえば九尾の妖狐は妖怪か……)

 『あれは伝説上の話では変身、変化を得意とする妖怪だ。しかし奴は戦闘中にそんな素振りを一切見せなかった。ただ黒崎の使い方が悪かっただけかもしらんが……』

 (確かに………)

 

 黒崎が戦闘中に見せた尾裂狐の攻撃パターンといえば球状になって暴れまわるあの攻撃だけだ。変身といえば変身と言えるのかもしれないが少しイメージが違う。


 『なんにせよ一応注意はしておけ。頭を飛び越えられないことだ』

 (よし!)


 情報がほとんどない中でこれだけ事前に準備できていてら十分だろう。

 少々の不安が胸の奥に残っているものの、進んでいるときは止まらない。満員寸前の電車に無理やりねじ込まれながらも、だんだんとその覚悟は固まっていった。

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