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 コントのような鋭いつっこみ?が炸裂し、金田がとりあえず黙り込む。

 真琴以外の二人はこの流れてくる人ごみをいくら睨みつけていようと変化など見ることはできないのでただただ目線を校舎の入口と真琴の顔で往復させる。

 彼女の顔に変化が出るのを待つのが最も速い。そう考えたのはいいもののこれでは彼女に負担をかけっぱなしだ。今度いつかジュースでもおごってやろうと心の中だけでつぶやきながら再び彼女の顔を見る。

 不真面目な残り2人とは違い真剣、実に真面目な顔で流れ行く人を見つめ続けている。


 「そう……もう少し……」


 真琴がぼそっとつぶやく。

 

 「アンタ達はアタシが合図したら直ぐに男を捜しなさい……。これだけの人数じゃ個人を判断できないから……」

 「分かった」「うっす」


 先ほどの所持者の条件を頭の中で繰り返す。

 校舎から流れる人の波、かなり長い時間続くこの波が途切れる前に真琴が叫んだ。


 「来た!!」

 

 「「よし!!」」

 

 探す。ひとりひとりを見分けて。女、男をわけ、高身長、低身長をわける。

 何十、何百と並ぶ人間の中、一つ一つを部類分けしていく。


 「ひとり……。二人……いや、4人はいるな……」

 「うっす。僕が確認できたのも4人です……」


 椋、金田ともに4人条件に当てはめることのできる人間を発見することができた。おそらく同じ人間であろう。広報で目立った男はそれだけしかいなかった。


 「どうしよう……結構いるな……」

 

 椋がぼやく。3人でバラバラに追うという手段もないではないが、誰が所持者かを判別できるのは真琴だけなのだ。

 そのうえ人数は4人。今のこのメンバーでは全員を追う事はできない。


 「とりあえずこの列をつけましょ。この気を逃したらかなり面倒なことになるわ」


 真琴の提案に乗りとりあえずササッと移動し列の最後尾につけた。

 

 「ここからでも大体の位置は分かるのか?」

 

 真琴に問う。

 

 「そうね。個人の判別はできないけど、だいたいどのくらいにいるかはわかる」

 「ならとりあえずそれをたどったほうが無難だよな?」


 それならさきほど考えていたそれぞれが追うという方法よりも簡単に追いかけることができる。


 「そうね……。いまは所持者が誰かさえ判別できればいいんだから深追いはしない方向でいきましょ」

 「了解」


 3人の子の蛇、いや、大蛇のような巨大な列の追尾が始まった。

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