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16


 3人の進行は暫しのあいだ続いた。残り時間が刻々と短くなっていく中、最も反応が強く感じられる校舎にたどり着いた頃にはもう残り時間も2分を残したところとなっていた。


 「ここでいいのか?」


 椋が真琴に聞く。場所は白虎第五美術校舎。つまりは美術科の生徒が授業を受ける校舎だ。

 彼女はそれを首肯し、簡単な説明を開始した。


 「校舎はここで間違いない。場所は二階、奥行まではわからないから二階のどこかとしか言い様がないわね……。おそらく性別は男、身長はどちらかというと高い方ね……」


 淡々と出てっくるその言葉、『可視化の片眼鏡』を使える真琴だからこそわかる世界なのだろうが、何か……凄い……うん。距離の接近だけでここまでわかるのだったら最初から彼女を頼ればよかったというのが椋の正直な意見なのだった。


 「さすが姉さん!!こんな短時間でそんなことまで分かるんですか!!」

 「もっちろん!アタシを誰だと思ってんのよ!」

 「うぉぉぉ!!姉さん!!」


 金田が両腕と共に坊主頭をブンブンと振り回しながら感激の意を示している。どういった表現なんだこれ……?


 とりあえず校舎前の


 「とりあえずココで待つしかないわね……」

 「まあそうだな……。ここで顔だけ確認して、4限目前の業間休憩の間つけて、昼休みに接触でいいか?」

 「うん、それが一番かな……」

 

 授業がもうすぐ終わるとは言え、無理な接触はできるだけ避けたい。何しろここのは他に大量の生徒がいる。もし暴れでもしたら大変だ。そのうえその原因を作ったこちらにも疑いの目がかかる。もしこの特殊なOL含め椋達が白虎に潜入しているという事実が公になってしまったら大変なことになる。


 「おぉぉぉぉ!!盛り上がってきたァ!!」


 どこにどう盛り上がっているのかいまいち理解できないが、立ち上がり叫んだ金田に真琴が喝を入れた。


 「金田うるさい!!」

 「すいません姉さん……」


 シュンとなり落ち込みの表情を見せる金田に椋は小声でぼそっとつぶやいた。


 「(金田君、多分昼休みになると思うけど相当過激な戦闘が起こる……。真琴はああ言ってるけどひとりの女の子だ。君は彼女を守ってやれる唯一の人間だ……。頼んだよ……。)」



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