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時はしばらく過ぎ、現在は正午前。
場所は中立域の中でも特に白虎専用校舎が集まる通称白虎区。椋、真琴、金田の三人は授業中にもかかわらず正々堂々と校舎から校舎へと渡り歩いているのだった。
ところで真琴と金田は二人同時に鼻息を荒らげ興奮気味の表情を浮かべていた。
「姉さん!僕授業サボるなんて大冒険したの生まれて初めてですよ!!」
「この何とも言えないスリリングな感じがたまらないわね!!」
「お前らな……」
と流石に少数派の椋は彼らを責めることができず、悲しく二人の後ろを付いて歩いていた。
しらみつぶしというか消去法というか、真琴が気配を感じる方向に適当に進み大まかな位置を特定していくという寸法なのだが、流石に能力者校といったところか。それなりに力を持った人間が周囲にたくさんいることもあり一種のジャミングのような状態になっているらしく、かなり近づかなければ正確な位置が察知できないとの事らしい。
「こっちね!」
「コッチですか姉さん!」
とまあこんな感じで先程から金田は真琴のひっつきむし状態になっている。
金田が元気を取り戻したということで良しとしていたのだが流石にここまでとは思ってもいなかった。
真琴の方もまんざらでもないらしく、中性的な容姿の金田を可愛いの範疇に入れるかどうかを悩んだ末に弟分にしていた。
「お前らな……」
もう同じ言葉しか出ないほどに呆れきっていた椋なのだった。
まあもちろん真琴もふざけているわけではなく、着実にゴールは見えてきているように見える。彼女の話ではおそらく所持者は上級生、さらに言えば3年生の可能性が高いらしい。
一回の授業時間は50分、広い校舎棟を移動するために授業間の休憩時間は20分となっている。
1年生はほとんど選択授業というものが存在しないため基本的にHR教室で一日を過ごす。が、しかし上級生は違う。
2年生は3分の2が、3年生は時間割の全てが選択授業で構成されてるというこの学園。様々な専用校舎で様々な生徒が様々な授業を受けている訳なのだが、話によれば業間休憩を挟むたびに反応が移動しているらしい。つまりは1年生という可能性は0に等しいのだ。
そしてこれまでの時間でそれが移動しない時間が一度もない。つまりは3年生の可能性が高いと推測しているわけだ。




