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 椋、真琴、二人の背中に電撃が流れる。

 その少年から発せられた名前は予想外の更に外にあるものだったからだ。

 二人の横に立つ少年の顔は決して健康そうではない。目立つ怪我が顔だけで2、3見られ、顔色も悪い。ひと目で暴行を受けたことが見て取れる。


 「本日より皆のクラスメイトかつ同寮生となる金田に拍手を!」

 

 巨躯の教師がそれを叫ぶ。

 とりあえず従ったほうが無難だと感じた椋と真琴は少ない数ながらも拍手を送る。

 しかし二人、そしてとなりの巨漢以外からは一切の拍手が送られない。まるで歓迎など一切されていないような、むしろ疎まれているような目線が金田に集中している。


 「どうした皆!拍手せんか!」

 

 かなりの気迫とともに発せられたその言葉。そのおかげかようやく一部から手を叩く音が聞こえ始め教室全体に広がっていった。この巨漢もなぜ拍手が送られないのかを理解しているようにも見える。

 しかしそんなことを気にしていられないほどに二人の心臓はバクバクである。

 軽い変装と言うかカモフラージュというか……。金田がもし椋を凝視したのならば気がついたかれるかもしれない。いや、バレる。その瞬間計画は全ておじゃんだ。

 確かにⅤは忠告してくれた、金田雅は白虎第二寮生だと。Ⅴの言っていたことは間違いではない。しかしその情報は古すぎたのだ。


 「(転寮なんて聞いてない!!)」

 

 拍手にまぎれ、真琴に小声で叫ぶ。


 「(そんなのアタシだって聞いてないわよ!!それよりマズいわねこの状況……)」

 「(けど逃げようにもあの教師……かなり面倒くさそうだぞ?)」

 

 二人は会話を続ける。もう拍手がやんでいたことにも気がつかず。

 静まり返って部屋では二人の会話は実に目立ったことだろう。内容までは悟られなくとも、視線は自然にこちらに向かう。

 そう金田雅の視線も。


 「あ……っ……あ!!」

 

 金田が驚愕を超え恐怖に染まった表情で言葉にならない叫びを上げようとしている。

 

 「亮治!!」

 

 真琴が叫ぶ。まあいろいろすっぽかしているとはいえ、何を言いたいのかぐらいは伝わった。


 「行くぞ平子!!」

 「平子って呼ぶな!!」


 全速力で声を発する寸前の金田を確保、教室の外に連れ出し廊下を駆け抜け、可能な限り先の教室から離れた位置まで金田を拉致したのだ。

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