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 妥協ではない。決めたのだ自分の中で、自分が守ると。

 敵の攻撃がもし仲間に向かったとしても自らが進んで盾になる。そう決めたのだ。


 「だけど約束してくれ。無茶はしないこと、それとほかの所持者と戦闘になった場合絶対に逃げること」

 「わかった。約束するわ……」


 真琴の承諾も得る。椋はすっと立ち上がり自分のベッドの下まで行くと、その下、隙間に手をつっこみあるものを取り出そうとする。


 「なんだ?エロ本のカミングアウトか?」

 「るせぇんなわけ無いだろ!!」


 懋の面倒くさい絡みを超速攻で否定する。

 そんな大切なものベッドの下なんていう安易なところに隠すわけがないだろう!!

 取り出したのは小さな箱だ。入っているものは校長から計3つ貰った灰色の特別なOLだ。残り二つはこの小さな箱に自分の元のOLとともに保管してある。

 電子キーをつけて椋と新田のOL以外では開錠できないように設定してある。

 そんな箱にOLをかざしキーを開錠する。そして驚愕する。


 「ああぁぁあぁ!!」

 「何?どうしたのよ?」


 箱の中には黄色のOLが1つ。そして灰のOLも一つしか入っていない。

 

 「そうか……そういうことだったのか……」

 「だから何がよ!」

 「エンヴィは麒麟寮生、それに最初に《強欲》を拾った可能性が高いのは第一寮生……。どうやって開けたのかわからないけどOLが一つ盗まれてる…………」


 全部自分のミスだ……こんな安易なところに置いておいた自分がバカだった。常に3つとも持ち歩いておくのが得策だった……。


 「それはおかしいよ辻井君……。少なくとも僕は毎日晩御飯の前にそれを確認してた……。25日も確認したけどちゃんとなかにOLは3つ入っていたよ……」

 「じゃあ昨日の晩は?」

 「それは……。ごめん、辻井くんが帰ってきてからは確認してなかった……」


 流石の新田にも焦りの表情が見える。確かに新田には毎日確認してくれと頼んでおいたのだが、そういうところが完璧な新田にとってこれは完璧なミスだ。どうやったかは知らないがおそらく25日の午後、新田が確認し終った後で中からOLを抜き取り、蒼龍の襲撃に向かったのだろう。

 誰が新田を責めれようものか。強固なセキュリティと毎日の確認を行っていれば盗まれることなんて誰も考えない。そう、悪いのは誰でもないエンヴィだ。


 「気にすることないよ新田君。でもこれで他寮に移動できるのは真琴だけになっちゃったわけか……」

 「まぁそうなるわね」

 「気が重いよ……」


 いくらここで約束したからといって、彼女の性格上絶対に守るとは限らない。故に出た言葉だった。


 


 




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