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現状の説明を終え、次の議題はこれからどうするかということに移っていた。主に次の結晶の回収についてだ。
「結局今この状態でも椋は白虎で《色欲》の回収に行くのか?」
そう、そこなのである。エンヴィがさらなる力をつけないようにするためにもすぐにでも他の結晶を回収していかなければならないというのが現状である。故に蒼龍の時のようにだらだらと時間をかけて回収することは得策ではない。
「せめて誰が持ってるのかくらい分かればいいんだけどね……」
新田がぼやく。その言葉が異常なほど頭に引っかかる。
誰が持っているかわかればいい?そう、誰が結晶を持っているのかわからないから今こうして悩んでいるのだ。
しかし椋はそれを否定するような言葉を今日エンヴィから聞いたのだ。
『俺が起こした先の騒動で目標が逃げてしまってな』
なんでそれがエンヴィにはわかるのだろうか?そもそも闘技場への襲撃は新たな七罪結晶を回収するために行った蛮行だったのだ。確かにそんな無作為にいろんなところを襲撃しても意味がない。ある程度特定できていなければ今この学園はもっと悲惨なことになっていたのかもしれない。
「そうか……」
「どうしたんだ、椋?」
「エンヴィってやつ、自分の能力か何かで他の七罪結晶の所持者の位置を特定できるんだ……」
椋の発言に懋と新田は素の驚きを見せた。
「それって結構まずいんじゃねぇか?」
「結構どころじゃない……本格的に襲撃をはじめるかもしれないね」
懋の疑問に新田が答える。
その通りだ。もしかしたら今からでも所持者への襲撃が始まる可能性が高い。
しかし流石に出現位置までは特定できていないのが椋、いや学園側勢力の現状だ。




