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 あれから、どれほどの時間が経っただろうか。

 男として恥ずかしいくらいの大泣きをかましてしまい、挙句の果ては二人とも疲れて寝てしまっていた。

 

 椋が目覚めると、もうそこに沙希はいなかった。

 椋の携帯端末にメッセージが届いており、

 『少し用事があるから、いったん帰るね。また来ます』

 という簡単な文章が画面に表示された。

 

 しばらくし、壁にかけてあった掛け時計を見つめ、驚愕する。

 時計は2062年3月17日午後3時12分を示している。

 あれから5日も意識がなかったのだ。

 しかし、すぎてしまったモノは気にしてもしょうがない。


 椋の頭の横に置いてあったリモコンを手に取る。突然の入院であったし、今度は、点滴などいろいろ装備されているため、あまり体を自由に動かせない。

 

 要するに暇なのである。


 リモコンの赤いスイッチを押し、電源を入れる。

 そして再び驚愕すつこととなる。

 

 『特番:廃工場能力者少年集団リンチ事件、どうなる!能力世代の少年の教育!!』

  

 どのニュースチャンネルでも大体がその話題で持ちきりになっている。

 やはりかなりの大事になってしまったようだ。

 過去に一度もこういった事件がなかったわけではない。喧嘩から発展した暴力事件も何度か起こっている。


 しかし今回はわけが違う。


 被害者、つまり椋は意識不明の重体であったのだ。ただの喧嘩で済まされるわけがない。

 犯行現場に流れていた血痕はすべて少年のもの。加害者側のメンバー全員が気絶していたことなど、いろいろと調べ上げられてはいる。

 しかし加害者側の少年らを全員気絶させたのが誰かはわかっていないと報道されている。


 (なんでだ…?さすがにあれだけやったんだ…だれか覚えてるはずなのに…)


 しかしキャスターは、衝撃的な言葉を走った。


 『加害者側の少年らによると、事件の記憶は一切ない。なんであそこに倒れていたのかも覚えていない。と供述しており………………………』


 (あれだけのことをやっておいて、覚えてないで済まされると思っているのか!!ふざけるな!!)


 椋の心の底から怒りがどんどんあふれてくる。

 沙希に暴力をふるい、彼女にとって命にも等しい髪を無残にも切り捨てた…

 今にも怒りが爆発しそうな中、キャスターは続ける


 『ある能力者の能力を借り、脳内に残る過去の記憶を一人一人調べているようですが、証言通り加害者少年の脳内に当時の記憶は存在しておらず…………………………………』 

 

 少年は背筋に何か嫌な…悪寒のようなものが走った。

 







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