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 「待って!!」


 突然閉めきっていたはずの部屋のオートロック襖が開錠され思い切り横にスライド、廊下の照明のまばゆい光が入り込んでくる。

 視界に入ってくるのは二人、長瀬と馳葺だ。


 「ちょっと待ってくれ!最後に話を!!」 


 ちらっとだがⅤの方を見遣る。それに気がついた彼は首を横に振る。

 Ⅴの能力が待機状態を脱し、もう解除することはできない。言葉にはしないがそう言いたかったのだ。


 「あと10秒です……」


 つぶやくようにⅤが言う。おそらくは推移までの時間を指しているのだろう。

 それを聞いた二人は襖の前で立ちつくし、行動を起こせないでいる。突然10秒と言われたらそうなるのが普通だろう。

 しかし、椋には先程廊下で長い時間をかけて考えた、次に二人に会った時に言うための言葉が用意されていた。2人に別れの挨拶はしたくなかった。そういう理由で部屋にはよることがなかったが、向こうから来てくれたなら今伝えずしていつ伝えろというのか。残り8秒と別れの時間を削るように無慈悲に進む時間。それを無駄にしないためにも叫ぶ。

 

 「これまでここで過ごした俺も、今ここにいる俺も、いつかまたここに来る俺も、辻井椋って人間は蒼龍にいる限り伍莉貞なんだ。また来るときは俺を貞男として受け入れてくれ。一か月間すごく楽しかった…またな…ありが……」


 最後まで言い終えることはできず、強烈な結晶光と共に推移が始まる。二人の方を向き、右拳を握り親指を立て笑顔でその最後をまつ。

 最後位は笑顔でいたいものだ。二人(とくに馳葺は涙を大量に流しながらだらしない表情をしているが長瀬はいつものバカっぽい笑顔を浮かべている)もそれは共通意識な様で、頬を濡らしながらも無理に笑顔を作っていた。


 なんだ…たとえ他寮生で仲良くなれるんじゃないか……

 そうだ、俺がこの壁を壊そう……

 寮なんて関係ない…楽しい生活を送れる新しい学園を俺が…


第14部 現状、《暴食》 終



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