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覚醒の形3~己で選ぶ道~ 1

 

 暗く…とても暗く、とても冷たくて、とても狭い。

 と、例えるしかないような空間に、椋は立っていた。、ほとんど身動きが取れない…狭苦しい空間だ。

 横の壁もどんどん迫ってきている気がする。このままでは危ない。と思い、前に走り出すが、一向に進んでるように見えない。

 

 周りの背景が変わらないせいか、もしくは本当に進んでいないか。

 しかし横の壁だけは着実に狭くなっている。


 (なんなんだよここ……どうなってるんだ?)


 暗い空間を走りながら、そんなことを考える。

 

 走っても。走っても。走っても。走っても。

 出口のようなものは一向に見えない。

 

 ずっと走っていると、目の前に、大きく、金色に輝く両開きの扉が見える。

 直感的に、あそこがゴールだと確信し、扉めがけて、全力で走る。

 しかし、ついに横壁の隙間が狭すぎて、走れないようになってしまう。

 扉まではあと10メートルほどだろうか。

 右手を前に突き出しながら、必死に扉に手を伸ばすが、あと少し、10センチほどのところで。椋の動きを壁が完全に封じてしまう。

 きりきりと締め付けられるような感覚はあるが痛みは感じない。


 (前へ…もっと前へ…)


 そうもがいているうちに、固く閉ざされていた金色の両開きの扉が、ギキィと音を立て開き始めた。

 中から出てきたのは、人のシルエットだった。これも金色に輝いているため、誰かは確認できない。

 むこうの人型のシルエットも、こちらに手を伸ばしてくる、お互いの手の距離が、2ミリほどまで接近する。

 こちらも懸命に手を伸ばし、1ミリと距離を減らしていく。


 (俺を…そっちに…この場所は嫌だ…そっちに…そっちに連れて行ってくれ!)


 二人の手が触れ合う。とても暖かい。生きている人のような。

 両側の壁の重圧が突然消え、体が自由になる。

 そのまま、金色のシルエットに手を引かれるように、大きな扉に飛び込んでいった。

  

 

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