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だいたい先程公園でうなだれていたのが10分ほど前、流石にそれだけ時間が経過していればそこにとどまっている可能性は低いと思うが、飛ばしたカメラは運悪く男子寮に向かっていた。
ここでいう運悪くは決して覗きとかではないぞ!!
女子寮に男子生徒が侵入する可能性は非常に低いからなのだ!!
女生徒が男子寮に侵入することは多々あるものの、その逆はありえない。セキュリティーレベルが段違いなのだ。
もし侵入しようものなら次の日寮の真ん中で天日干しにされていること間違いなしだろう。ボコボコにされた後晒し者にされ、なおも『変態』の烙印を抱え3年間の学園生活を送らなければならない。
そんな馬鹿どもが第七寮だけで既に5人もいるのだからそいつら全員勇者だ。大魔王倒すことなんかよりもよっぽどの勇気がいるはずなのだ。
まあそんなわけでとりあえず部屋の位置を記憶し、後で青山に生徒名の割り出しを頼むことにし、少々カメラでの探索を続ける。
(きたない部屋だな……)
などと内心で愚痴を漏らしつつ、失礼ながら室内の探索を開始する。
残念なことに室内に人間はいない。あるの脱ぎ捨てられたパンツとパンツとパンツだけだ。しかし全部男物である。
(手がかりはなさそうだな……)
と半ば諦めてカメラを終了しようとする。
ウィンドウが閉じようとした寸前、そこに進入時にはなかった、いやいなかった誰かが映ったような気がした。確かに足のようなものが見えたのだ。
(今のは?)
そう思い急いで再起動をする。しかしカメラの性質上、起動時に発生するラグがもどかしい。早く早くと願っていればその時間も長く感じてしまう。
起動完了し、カメラで部屋の周囲を急いで見渡す。しかしそこには足どころか、男のパンツしか存在しない。
(気のせいじゃないよな……)
と引っかかるものはあるがカメラを終了する。
そういえばこのカメラどういうふうに、どこからものを移しているのだろうか?
実態は存在するのだろうか?もしそれなら先ほどの誰かにそれを見られたんじゃないだろうか?
気になる……。一度ここに呼び寄せてみるか?しかしその行為には異常なまでの勇気を必要とする。なぜだか凄く怖いのだ。逆に言えばその存在も知らずにいる方が怖いのかもしれないが……。




