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 公園での長話もこれがなかなか面白いものだ。

 長瀬のカレーパン論議はとどまるところを知らず、ついに過去の話にまでさかのぼり自分の人生について語り始めるまでになっていた。

 

 移動しながらでも続くその話を聞き続け、一度第七寮に帰寮し、青山のもとに向かうことにした。『暴食』を優先するという旨を伝えるためにだ。

 青を基調としたこの街の最左端に存在するこの寮(ちなみに最右端にある第三寮には入寮祭、各寮対抗試合代表選手須山水鏡がいるため正反対にある第七寮を選んだという理由もある)。麒麟寮とはそもそもが違い、向こうは洋風な佇まいなのに対し、蒼龍は純和風である。全部屋畳というのも見逃せない点だ。

 最初ここに来た時に校長に質問を飛ばしたところ、『明確な区切りがお互いの闘争心を駆り立てるのだよ』だそうで、その違いが明確な国というイメージを生徒の中につくり、寮土を奪い合うに至る。まあつまり結果として争わせるための違いらしい。

 

 襖に手をかけ横にスライドし自室に戻る。こんななんの防犯対策もないように見える襖だが、実は他の寮と変わらず電子的なセキュリティも完備されている上に他の寮よりも防音性に優れている。生徒のプライバシーを尊重するためなのだろうが、襖というものの域を超えているのではないかしばし疑問に思ったものだ。

 まあなれてしまえば何の問題もなく、私服から黒地に青のラインが走る蒼龍の制服を着て寮監室に向かう。


 寮監室の前にたどり着くと襖の横に設置されたベルを鳴らし青山を呼び出す。

 

 『どうぞ』

 

 と青山の声。ここに来る事は既にメールをしておいたので彼からはやっと来たか的な感じで向かい入れられる。

 ちゃぶ台の上には湯呑とともに緑茶が注がれており、青山に先導されるがままに彼と向かい合って座る。

 部屋に大量の包装紙に包まれ上にリボンが飾られた……そうプレゼントのようなものが山積みになっている。

 

 「こ……これは?」


 浮かべた疑問。予想しやすい帰ってくる答え。

 

 「先日僕の誕生日でね……。いつもこうなんだ……。女生徒がね……いや、たまに男生徒も……」

 「た……大変ですね……」

 「分かってくれるのかい?」

 

 彼はそれを理解してくれる人間を探しているのだろうか?すがるような目でこちらを見てくる。もちろん返す言葉はひとつしかない。


 「到底理解できません」


 モテない男にとってリア充は敵なのである。



○~○~○~○~

 「ところで決心はついたのかい?」

 

 確信をつく彼の質問に椋は迷うことなく先ほど公園で決めたことを宣言する。

 

 「はい。僕は『暴食』を追います。さっさと見つけて『強欲』も『嫉妬』も探し出します!」

 「うん、それが一番だね」


 にっこりイケマンスマイルでうなづいてくれた。

  

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