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 この学園は大量の研究員ともに、大量の能力者を雇っているらしい。


 能力孤児(スキルオーファン)と呼ばれる、幼い頃に親を不慮の事故で失った児童、親に捨てられた児童。孤児院にいる大量の児童を学園が集め育成すると言うプロジェクトだ。

 プロジェクト自体は学園設立の10年ほど前から構想が立っていたらしく、この学園の殆どの能力孤児は幼い頃からここで育っている。


 実際、能力を持った子供が生まれ始めた頃、能力を持った我が子を育てらるのかどうかといった不安から、そういった無責任な親が増えたと言う実態もあったらしい。


 例えば入学試験、椋と沙希の二人をこの島に連れてきた二点間推移の少年、そして『確認の間』椋、沙希、契の三人の分身を造り上げた能力者がそれに含まれる。

 能力孤児は無料で衣食住、そして教育を提供してもらう代わりに、学園にその能力を提供する事になっていると聞いた。


 彼等がそれをどう思っているのか、理解をするのは椋にはおこがましいとさえ思えた。


 しかし今回はそのの能力孤児の力を利用できないだろうかと考えたのだ。

 

 もしかしたら中には他人に成りすます事のできる能力を持った人間もいるかもしれない。

 あくまで仮定の中での話だが、可能性が0ではなく、最も安全かと思える策はこれくらいしか思いつかなかった。

 

 校長の返事はしばらく帰ってこないものと思ってはいたものの、数分後、OLからメールを受信したとの通知が来たため確認すると、かなり事務的なメッセージで、[了解した。本日午後3時そちらに向かわす]と書かれていた。


 現在の時刻が2時59分……………………


 「1分後!?」

 

 この叫びの理由を知らない新田は思わず飛び上がり、「なっ……何ごとだい?」とわたわたしている。


 「ありがとう新田くん、身代わりの件どうにかなりそうだよ!!」

 「あ…ああ。おめでとう……」


 と言ってるうちに、突然部屋の玄関口、閉ざされた扉の前が光りだす。どこかで見たことがあるようなそんな光がそこにはあった。

 吹き荒ぶ風が部屋を包み込む。現れたのは二人、両方がローブを着ていて素顔を確認することはできない。


 「お久しぶりです、辻井椋様」


 

 肩幅は広く、低い声、久しぶりという言葉からして、この少年は入学試験時の二点間推移の少年だろう。

 凄く汎用性のある素晴らしい能力なわけだが、こんな雑務にまで使われるのかと思うと、少々考えることがある。

 

 「お久しぶりです。あの時はいろいろありがとう」


 と沙希の感情的な暴走を止めてくれた分のお礼も兼ねて深く頭を下げた。あの場面で彼が沙希を病院前まで飛ばしてくれなかったら今頃この学園にいないかもしれないのだから頭が上がらないのだ。


 

 


 

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