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(これって……カメラか……?)
永遠と新田がうどんを食い続けるライブ映像を見せられながらもさらにウィンドウに更なる操作ボタンを見つけ適当に弄り回す。
ある程度の操作と、おそらくアイコンの形状からしてマイク機能も付いている。
簡単に言えば盗撮だ。学園全土何処へでも回せるカメラ。向こう側からはどう見えているのだろうか?それも気になるが、どっちかというとこんなものが学園にあったこと自体に驚きを隠し得ない。
これを操作するのは良心の範囲内にしておこうと心に軽く誓い、ウィンドウを閉じる。
他にも色々見覚えのないアイコンが並んでいるので他は今度試すことにして、帰寮する。
いつになっても七徳集箱を弄り回している山根は、意味不明な単語を並べながら隅々まで舐め回すように白い物体を考察し続けている。
「あの……ソレ、返してもらっていいですか?」
と椋が声をかけても山根一向に反応がなくただただそれを眺め続けていた。
「だから……その……先生?」
勿論寮に到着するまでそれは続き、何度声をかけても無視されるという非常に虚しい時間を過ごしたのだった。
○~○~○~○
再び自室に戻ってきた、そんな現在の時刻は2時を過ぎた頃だろうか。とりあえずあのカメラをいじくりまわしてからものの十数分しか経っていないというのにうどんを作っていた形跡は完璧に消えていて、テーブルの上にはまだ少しあったかいうどんがラップに包まれ置かれていた。
「新田くん……あんたスゲェよ……」
「何が?」
と新田が素の反応を返してくる。普通の高校生は自らの部屋でうどんを作ることは無いということを彼は知らないのだろうか?しかも片付けまで完璧に終わらせている。
うどんを食い終えた椋は少々新田と話をする。これからのことについてだ。
「新田くん。俺不定期でここから出ていくことになるかもしれないんだ……」
「どういうことだい?」
大柄な新田とテーブルで向い合わせになり、お茶を啜りながらゆっくりと話を進める。一応同室の彼は聞く権利があるだろう。切り出すにしては重すぎる話だが、とりあえずい学園で起こるかもしれない、いや、起こっていることすべてを彼に話すのだ。ベラベラと誰にでも話すわけじゃない。信頼できる人だからこそ話すのだ。
「新田くんは七罪結晶って単語を聞いたことある?」




