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「それって……どういう……?」
「言った通りだ。現時点でだがこの学園内で確認されている七罪結晶の数は4つ。しかもそれが君たち新入生が入寮してきた日から今日までの3日間のあいだに出現したものだ。」
「だからって!!その決め付けはおかしいで……」
「現に被害者が出ているんだ。そもそも七罪結晶は高校生程度のガキが知ることのできる代物ではない!!」
必死に抗う椋の叫びを遮るような高圧的かつ弾圧的な村本の叫びが打ち消す。
「考えても見ろ。アレの存在を知っているのは一部業界に関わっている人間とアレを保管していたアーティファクトアーツ社の人間だけだ。それならなぜ少年。君がその存在を知っている?永棟君に聞いたのではないか?話に聞けば君たちは親友だそうじゃないか。あらかじめ注意を促してもらったのではないか?」
「ふざけるな!!決め付けるんじゃない!!俺は麒麟第一寮寮監山根先生からその話を聞いた!!しかも試合中に、口頭で!!契からは何も聞いてない!!」
「少年、君が親友をかばっているという可能性が否定できないぞ?」
その反論に再び食いつこうとすると、それを遮るように背後の木製の扉が二度ほどノックされ村本の支持を待たず静かな音で開き始めた。
「その子が言っていることは本当です」
そう言って入ってきたのはここしばらく、というよりこれからしばらくお世話になるであろう寮監、山根美弥であった。
「入室許可は出していないはずだが?」
少々の怒りが顔に現れている村本だが、その威圧感に負けず屁理屈じみたセリフを山根は吐いた。
「失礼しました校長先生。麒麟第一寮寮監山根美弥。入室しました」
これまでとは違い、と言ったら失礼かもしれないが、シワ一つないピチっとした黒いスーツを着込み、教師というよりは就活生のような堅苦しい格好をしている。
が、彼女からはその堅苦しさが感じられない。見事に着こなしているといった感じだろうか。
「フム……。では山根君、君に問おう。なぜ君は七罪結晶の存在を知っているのだね?」
そこからは少し長い話が始まった。試合中に話してくれたように彼女の口から次々と言葉が出ていく。どうしてそれを椋に話したのかなど、その後のことも全て証言してくれたた後に説明する予定だった話が必要なくなってしまった。
「納得していただけたでしょうか、校長先生?」
教師や研究員をしていたという役職柄だろうか彼女の説明はとてもわかりやすく、全てに筋が通っている反論のしようがないといえるものであった。




