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職員塔。
この島と学園をつなぐ巨大な塔。そして学園の中心に存在する集合職員室だ。
ここに来るのは久しぶりだ。入寮時に通ったわけだが教員に先導されていたため素通りしてしまった。
塔内に入るのは実質的に『確認の間』での試験の日以来つまりは3週間程度間をあけたことになる。
広すぎるエレベーターに乗り込む。始業前の休日、真っ昼間にここに用がある生徒なんて椋以外にいる訳もなく、もちろんのことながら乗員は一人である。
扉がしまる前に《昇》と書かれたボタンを押し込む。待ち時間が微妙にもどかしい。上の職員室につくまでの短いはずの時間が何故か長く感じられたが、扉はしっかりと開き前にも訪れたこの広い廊下が目に入る。
ほかと比べて少し広いフロアに一歩踏み込むと、OLにからアラーム音と共に謎のポップアップが表示される。
(……地図?ここに来いってことか?)
立体的に浮き上がった職員塔の模型のような地図には大きな赤い点が表示されていた。
頂上は『確認の間』のはず。そこより2、3フロア下に記されている点には共に[the principal's office]の文字がある。つまりは校長室か。なぜこんな時に校長に呼び出されなければならないのか分からないが向かうことには変わりない。
試験の時、和田に案内された時のように少し進んだところにある別のエレベーターに乗り込む。こちらの操縦を一切受け付けず自動で動き出したエレベータはこれまた勝手に停止し、乗降を促してくる。
降りた先は他のフロアとは(と言ってもまだ一回と最上階しか見たことはないが)違い少し豪華な装飾、そしてさきほどのフロアよりも全体的大きいようなイメージを受ける。この塔はいったいどれだけのフロアが有りどんな形をしているのか、簡略的なこの地図ではそれを知ることはできない。そもそもどうやって建築したのだろう?こんな元無人島にこれだけの施設を。
歩を進めながらそんなことを考えながら、やはり豪華で大きな木製の扉の前に立つ。
(行くか……)
決意を固め華美な木製の扉を3度程ノックした。




