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 目的地は変わらず校舎塔に存在する最も大きな病院、坂本乙姫が入院している病院だ。

 本来なら朱雀寮に存在する病院に転院するはずだったのだが、彼女たっての願いだそうでずっとここにいるらしい。理由はわからないが相当もめたらしい、それこそ動けないのに暴れまわったと聞く。

 まあそんなこんなで病院に到着した椋は直接エレベーターに向かい乙姫のいる病室に向かう。

 

 昨日も訪れたわけで少々真剣に

 

 (しつこいとかめんどくさいとか思われててるよ絶対……)

 

 とか思ってしまうわけなのだが、立ち止まることなく彼女の部屋に到着する。

 一応先ほど連絡は入れといたためノックだけですまし速やかに部屋に侵入するとやはり昨日と変わらず痛々しいほどに傷だらけな彼女に軽く挨拶をする。

 

 「や、やぁ乙姫…」

 「おはようございます、辻…いや、椋さん」


 顔を赤くして突拍子もないことを言うから思わず謝罪の言葉が口から漏れる。


 「ごめん!!」

 「何を謝っているんですか椋さん…?」


 確実に怒っているものとばかり思っていたために出たその言葉は乙姫には理解できなかったようで、完全な疑問系で帰ってくる。


 「いや…何度も俺が訪ねてくるもんだから怒っているのかなと」


 ぽけーっとした表情になった乙姫から遂に笑みがこぼれる


 「フフっ…そんなわけ無いですわ、寧ろ来てくださることは全然嬉しいんですよ?」

 「じゃあ何でそんなに顔が赤いんだ?熱でもあるのか?」


 心配気に彼女の顔を覗き込む。まじまじと顔を見つめ続けていると彼女の顔は更に紅に染まり、とうとう顔を背けられる。


 「やっぱり怒ってるんじゃ…」

 「違います!!決してそんなことは!!」


 乙姫が左手とギプスのついた右腕と同時にわたわたと振りながら全力の否定をする。

 はぁー、と乙姫が深い溜め息をつく。


 「溜め息してたら幸せが逃げるぞ…」

 「誰のせいですか!!まったく…」

 

 理由はわからないが、まぁ深く受け止めとも話が進まないので手っ取り早く話を持ちかける。


 「乙姫、君の怪我を一瞬で治せるのだとしたら君はどうする?」


 もし、もしも彼女がそれを望むのならば、フールの力を使い彼女の怪我を直そうと考えたのだ。真琴のときにそうしたように。

 

 



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