4
向かい入れられた部屋はもちろんというか昨日と変わらず普通に普通な部屋であって、昨日と同じ場所に座り、契を待つ。
3分としないうちに契が現れ目の前にお茶を置くと正面に座る。
彼はピチッとした正座をしながら真剣な面持ちでまっすぐこちらを見据えている。
「話っていうのは多分七罪結晶のことだよね?」
頭のいい契だけあってか大体予想はついているようなので話が早い。
「うん。とりあえずというかなんというか企業秘密的なものに引っかからない程度に答えて欲しい。答えられない質問は答えなくていいからさ」
「わかった」
そう言って契&懋の部屋での質疑応答が始まった。
「まずは七罪結晶が盗まれたのはいつごろの話なんだ?」
「そこは少し違うよ。盗まれたんじゃない、持ち出されたんだ。金庫の鍵は会社の上層部、幹部の人しか知らないはずなんだ。だけど金庫に壊された形跡はない、正常に開錠されたのだからそれを盗まれたとは言わないよ」
「ま……まあそれはいいとしていつごろなんだ?」
「おおよそ一ヶ月前に金庫が開けられたっていう履歴が残ってて、発覚したのはつい先日だった。盗まれたのならすぐにでもわかったんだろうけど、正常な方法で持ち出されちゃ分かるものも分からなかったんだよ。」
先日の電話はその知らせを聞いたことだったのかとなんとなく連想しながら次の質問をする。
「犯人は誰なのかわかってるのか?」
「それは分からない。でもその存在を認知している人間でなければそんな行動を起こすはずがない。つまりは研究者または幹部職の誰かだろうね。」
「なるほど……」
まあそこまで分かっているのなら十分だろう。
その話でなんとなくあらすじは見えてきた。
それならもしかしたら…………。
最悪の可能性が見えてくる。いや、あくまで可能性なのだが……。
「そもそも契は七罪結晶の存在を知ってたのか?」
少し聞いてみたかったのだ。どこまで知っているのかも含めて。
「ああ、ある程度というか人工結晶で唯一の召喚系シリーズだって事くらいなら……」




