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その声と共に黒崎の背中に張り付いた金色の輪が一気に拡大しそして弾ける。
黒崎の能力のラグ、おおよそ一秒弱のそれさえも計算した上で行った『痕』の爆破によって、まるで背後から車に追突され押し出されるかのように勢いを付けて椋に向かい飛んでくる。
「なっ!?」
黒崎が府の抜けた声をあげそれに気がついた頃にはもうすでに椋は光輪を消費し拳を構えていた。
「黒崎ぃ!お前の敗因は2つだ!!」
そう叫び迷わず拳を振り抜かんとする。今度は拳の前にせり出してくる光輪が先程とは違い爆発的に膨れ上がる。
「ひとつは能力に頼りすぎていること!!何が七罪結晶だ!!……確かにすごかったよ…でもお前は尾裂狐に任せて自分は高みの見物。それならまだお前一人と戦ってる方が苦戦しただろうし、よっぽど面白かった!!」
黒崎の口癖を返すようだが本当にその通りなのだ。尾裂狐を召喚してからは自分自身は一切の攻撃行動を取らず、ただただ上空で尾裂狐のための目になっていただけ。尾裂狐という強すぎる力に依存し、自らは戦闘を感けていては元々黒崎が備えていた戦闘能力や技能が完全に無駄になっていた。
椋の拳は完全に黒崎の首元、おそらく七罪結晶があるであろうそこを捉えている。
「まってくれ!辻井く……」
危機を感じた黒崎の哀れな叫びなど無視して拳を少し引き、叫ぶ。
「終わりだぁぁぁぁあ!!」
ついに貫いた。手には結晶が砕ける感覚が伝わってくる。しかし破壊音はならない、その代わりにおぞましい悲鳴のような音が鳴り響く。
しっかり破壊しなければならない。このフィールド内に存在する限りは試合終了と同時に修復されてしまう。それを避けるため、足元の光輪でできた足場で踏み込み黒崎を限界の高度まで持っていく。
移動中、左手で黒崎の服の襟をつかみ引っ張ると、右手でその中に手をつっこみ少し尖ったような感触のそれを掴み握り込み、黒崎を足場にさらに少しだけ飛ぶと、その結晶をフィールドの外に投げ捨てる。
怨念蠢くような悲鳴がやんだのを確認すると、完璧に気絶した黒崎を回収し地面に着地する。
「もう一つだ……お前が戦っていたのは俺ひとりじゃないってことだ。乙姫からもらったお前の能力の情報も、先生からもらった七罪結晶の情報、そしてなにより俺を応援してくれているみんな。それが俺に力をくれたんだ!!」




