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 そんな話に気を取られつつも、気がつくと自分の体を操作するフールは見慣れている風景があった。

 鉄製の門、その隣には麒麟第一寮と書かれた看板が立ててある。


 『なんでワザワザここを……』

 『仕方がないだろう。ここは何度も訪れているからな……座標を覚えていたのだ。座標を覚えてさえいればこの能力は飛べるのだ。御前みたいな馬鹿には視野に広がる範囲でしか跳躍できないがな!』

 『馬鹿にしたな?今かなり馬鹿にしたな?』

 『本当のことを言ったまでだ。』


 スクリーンのような視界には第一寮に向かって歩く様子が伺える。

 中央に飾られた見事な噴水の前に立つとフールが言う。


 『そろそろ行くぞ……構わんな?』

 

 激痛…苦しい…痛いのは嫌である。ガキみたいなことを言うがあれだけのことを言われたら誰でも恐怖心を煽られるだろう。


 『ああ。やってくれ!』

 

 再びあの引っ張られるような感覚が訪れる。今度は浮き上がっていくような感じではあったが、視界が元の状態に戻る。

 

 『がァ……あぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁ!!』

 

 同時に訪れたのは激痛を超えるものだった。絶痛と言っても過言ではない。これぞまさに想像を絶するというやつだろう。

 フールとの会話を越え思わず少々声も出してしまいさらに山根との回線にも届くような叫びを上げてしまう。いつもは意識して回避できるそれを忘れ、出せもしない声を出させてしまうほどだ。

 

 『辻井君!?どうしたの?答えなさい?』

 

 山根の声が脳内に響く。


 『……大…丈夫です…………』


 フールの能力により絶痛はすぐに消えたものの残痛のようなものが全身から寒気を呼び起こす。


 『大丈夫って貴方……それより声は出そうなの?』

 『もう大丈夫です……』

 

 声は出る。フールにある程度痛みをとってもらったい、喉の修復を優先してもらった。他の部位は治せるほどのスタミナが残っていなかったのだ。先程から少し無理をさせ過ぎてしまった。そこまでは望まない。

 



 

  

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