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再び地下鉄に隠れるというのは馬鹿の一つ覚えというやつだろう。
とりあえず赤いバツ印の入っていない適当な店を選んで侵入する。とりあえず隠れることができそうな場所を探し、そこに息をひそめる。店の隅っこの方、[staffonly]なんてことが書かれているがそんなことは気にしない。
店内は大量の木材やら工具、植木や園芸用品などで埋め尽くされている。本当に適当に入ってきたため確認はしていなかったがおそらくここはホームセンターだ。
小さい頃はそういった工具や園芸にあまり興味を持つことがなかったし、そもそも肉体的労働は好んでする方ではなかったため滅多にこういう施設に来ることはない。というより学生寮の寮土にこんな物まであるのかと少し驚いてしまうくらいだ。
まあそう言った肉体的労働をしない分、母親の仕事の関係上家にある大量の本を読み続けていたため日常生活に使えるかどうか微妙な知識だけはたくさん持っているという自負はあるのだが、これが本当に役に立たないから困る。
(………!!そうか!!)
自分の過去の記憶を漁っているうちにある項目が一つ引っかかった。
『これって店内の商品とか使っていいんですかね?』
山根に問う。こういうのは自称ルールブックに聞いたほうが早いと見た。
『ルール上大丈夫なはずよ。というかこんな大規模な試合学園始まって以来だからそんな細かいルールなんて存在しないのよ……』
『ありがとうございます!!』
とりあえず礼だけ言って店内を走りまわる。
そろそろ尾裂狐が来てもおかしくない時間になってきてはいるため、急いで店内を駆け巡りある商品をかき集める。
このOLの特性上、試合終了時損害を受けたものは全て修復されるという特性がある。これは[治る]というわけではない。何度か試合をしてわかったがこれは[戻る]だ。
フィールド内でいくらものが破壊されようと、フィールドを解除するとフィールドを展開した時の状況に戻るのだ。故にフィールドからはじき出されたものはその時間の流れから外れ修復されない、と個人的な予想を立てている。
しかしこれはおそらく正解だ。
つまりフィールドの中であればどんな商品を盗……ゲフンゲフン。拝借しようが試合終了時には全て戻っているのだから何の問題もない。それを確認したかったのだ。




