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『そうね…そこにいる尾裂狐。そいつは『強欲』を象徴する七罪結晶。そいつの動力源は使用者、要するに黒崎君の欲望やら欲求やらを喰うの。いって見れば一種の適応規制みたいな感じよ』
対空中の椋は次の跳躍先を探しながら山根の話を聞く。
『じゃあ睡眠欲を食われたら眠たくなくなると?』
『んー。まあそんなとこね。でも欲求みたいなものは自然に湧いてくるものだからどうせまた眠くなるのよ。つまりは永久機関なの。さっき試合開始の直前に黒崎君が無表情になってたって言ってたわね?アレはおそらく尾裂狐に感情を食われていたからあんなふうになっていたの』
どこかはわからないがとりあえず現在地から一番遠くに見えるどこかの寮土を跳躍先に指定し、光輪2段階目の効果を使いもう一度跳躍する。後ろに黒崎の姿を確認したが気にせずに飛ぶ。
『でもあいつそのあとすぐに元の表情に戻ってそれからは無表情になってないですよ?』
『えっとね、七罪結晶から召喚獣を召喚ためには一度だけ感情を食わせればいいの。それ以降に溜って行く感情がつまり召喚獣の強さになる』
『ってことはあれよりまだ強くなるんですか?』
『まあそういう事ね…一応限度はないという話よ。で、ほかに聞きたいこととかある?』
あっさりと衝撃の事実を告げられたわけだが気にしていてもどうしても止められないものだ。
『今のところは特に…』
大体の話は理解?した。だんだんと規模がでかくなっていく話だったが、とりあえず今は試合だ。
逃げなければならない。と言うよりは解決策を考えなければならない。
話は聞いても根本的な解決策にはならない。どうやったら結晶を破壊できるのだろうか?物理的破壊が可能なのは彼女の話から汲み取れたがその方法までは教えてくれるわけがない。
長距離の跳躍を終了し、ようやく着地する。といっても10秒ほどなのだが。
着いた先はどこの寮か断定できる材料がない。しかし基調として赤を使用している部分が多いことからおそらく朱雀寮だろう。街並みはほとんど麒麟寮と変わらないが、敷き詰められているタイルの色などが少しエキセントリックだ。
とりあえず大通りらしきこの場所から離れ、OLのマップを確認しながら再びビルの隙間を縫うように移動する。尾裂狐の速さなら大体20秒ほどでここに到着できるだろう。今のうちに、黒崎も見ていない今のうちに再びどこかに逃げなくてはならない。




