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13

  

 その大きく踏み出した一歩は、周りの不良たちをひるませるには十分すぎる迫力があった。

 集団は7人ほどだろうか。椋は不思議と負ける気がしなかった。

 また一歩、また一歩と踏み出すたびに、相手は一歩後ろに下がっていく。

 

 一度立ち止まり、小さな声で口ずさむ。

 『光輪の加護オウレオールプロテクション

 結晶から発せられた光が、椋の四肢にそれぞれ3つの光のリングを作る。

 それからはまさに一瞬であった。

 

 右足を一歩前に出る。しかしそこにもう椋の姿はない。

 椋がたっていたのは、先ほどの位置より10メートルほど離れた敵の集団のど真ん中であった。先ほどまで3つあった右足のリングは2つに減っている。

 相手も意表を突かれたのか、つい数秒固まってしまう。集団の一人、声からして先ほどの《重力増減系》の能力者だろう。そいつめがけて拳を握る。

 相手の顔が一気に真っ青になる。椋は全体重をかけ強烈な右ストレートを飛ばす。《重力増減系》能力者の少年は、後ろにいたもう一人の少年を道連れに、倉庫外へと殴り飛ばされた。


 今度は椋の右手のリングが一つ減る。残る5人の不良達は何となく能力の仕組みには気づいたようだ。

 しかしそれだけではどうにもならない。

 もう一人いた《重力増減系》能力者の不良少年が、再び椋に重圧をかけようとするものの、椋は今度は左手をギュッと握り、左足で《重力増減系》の少年の方へ踏み込む。

 一定座標に重圧をかける能力なのだろうが、そこに誰もいなければ、何の役にも立たない。

 一瞬で相手の懐に潜り込み、擦れ違い様に握っていた左手でみぞおちに叩き込み不良少年を突き上げ深くえぐりこんだ腕をゆっくりと引き抜く。

 椋の左手足のリングが一つずつ消滅した。

 

 さすがに、残る4人もこの状況を理解したのか、一人がふるえる手で、懐からバタフライナイフを持ち出す。

 しかし不良少年も気が付いていた。この状況で、普通のナイフなんて役に立たないことくらい。 

 ナイフを握り、雄たけびをあげながら勢いよく走ってくる不良少年。しかし、椋がいたところに到達するころには、もう椋はそこにはいない。

 周りを見渡し椋を探す。

 シュッという音がほかの不良少年たちがいる方向から聞こえた。

 椋は残る二人の頭をあらん限りの力で握り、ナイフを持った少年の方右足でへ踏み込む。

 両手につかんでいる不良少年2人のの頭と、ナイフを持った少年の頭を勢いよく衝突させて気絶させる。

 椋の四肢に残っているリングはそれぞれ一つずつ。対して不良少年は残り1人

 

 この不良少年にとって、椋は化け物に見えただろう。

 静かに戦っているが、その表情には怒り以外の感情が見えない。

 怖気づいた最後の不良少年は「ヒッィ!」などと情けない声を上げてその場から逃げて行った。

 逃げるものを追う気はないので、そのまま見逃すが、これで終わりではない。


 まだヤるべき相手が一人残っている。

 

 先ほど気絶させた少年のバタフライナイフを拾い、その場にいる最後の一人に向かって、倉庫中に響き渡る声でその少年の名前を叫んだ。





 

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