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学生たちの楽園5~決戦前、謎~ 1

2062年4月15日


 入寮祭2日目

 


 (えーと…試合開始は9時からか…)

 そんなことを考えながら部屋を出る準備をする。

 自分の部屋、つまり第一寮からはどれだけ時間をかけても10分ほどあればスタジアムまで行くことはできるのだが、現在の時刻はまだ7時30分である。

 

 「おう!頑張れよ椋!」

 「応援してるよ辻井君。」

 部屋にいる同居人と一時的な居候に挨拶をする。

 「懋、新田くん行ってくる!」

 二人共朝からいい笑顔である。

 

 昨日はあのあと部屋の戻ると懋と新田がなぜかゲームをしており、

 『今日ここに泊めてもらうな~』

 となんとも軽いセリフだけで流されてしまったのだ。

 流石にあんな出て行き方をしたのだから帰れるわけがないだろうとは思っていたのだが、まさか自分の部屋に来ているとは思わなかった……。

 そして自分のベッドまで占拠されるとなんて思いもしなかった……。

 

 何はともあれ部屋を出た椋はある場所に向かおうとしていた。

 校舎棟……学生寮棟と職員塔に挟まれた様々な校舎が立ち並ぶその中にある大きな病院だ。

 ここにきて二日めにしてもう病院に来てしまうなんて自分でも想像していなかった。

 まぁ、今回の目的は自身の怪我などではなく昨日知り合ったばかりの女性のお見舞いに行くというものなのだが…。


 阪本乙姫

 入寮祭朱雀寮一年生代表選手。能力は赤い鶯の召喚系、炎を得意とする銀髪少女だ。


 昨日の入寮祭、題して各寮対抗試合の第4試合、彼女は玄武寮一年生代表、黒崎の陰湿な行動の果てに敗れ入院するほどの大怪我をってしまったのだ。

 手に花を携えているわけでもなく…いや、用意する暇もなく……とりあえず手ぶらなわけだが、そんな細かいことは気にしない。

 とりあえず病院に到着し、エントランスで彼女の病室の場所を教えてもらい、すぐに向かう。

 (9階の………15号室……ここか…。)

 扉には9-15と書かれていて、その下に『坂本乙姫』と書かれたネームタグがある。

 一度大きく深呼吸し呼吸を整え、心の準備を整えて、手を拭き…

 『いい加減早くしろ!!』

 (はいィィ!)

 永遠とそんなことをしていると遂にフールからのお怒りの言葉をもらってしまった。

 フーっと息を吐き、彼女の名前が書いてある扉をコンコンと二度ほどノックする。

 なかなか返事が返ってこないため、静か過ぎて自分の心臓の鼓動が聞こえるほどに緊張してしまう。

 自分だけこんなに長く感じているのかもしれないが、しばらくすると病室の中から『どうぞ』という声が聞こえてきた。


 覚悟を決める。

 ゆっくりと手を伸ばし、開閉ボタンを強く押し込んだ。


 

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