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13

 

 けんか腰どころか、ピリピリして今にも殺気を放とうとしているのが心に伝わってくる。

 椋自身フールの意思に引っ張られ、つられそうになってしまうが、自制心でそれを何とか抑え二人?の仲裁に入る。


 「2人ともストップ!ヘカテさん、何をしたらフールの力を返してもらえるんでしょうか?先輩ですし、なおかつ女性ですし、力づくってのはやりたくないですし……ハイ」

 「坊や意外に紳士ね……見直したわ。そうね……こういうのはツグに決めてもらおうかしら」


 突然のヘカテからのバトンパスにしっかり答えるように、


 「え…あ。私?…………そうだね…」


 右手の人差し指を顎のあたりにあて何かを絞り出そうとしている。

 ニィッとなにかを閃いたようにニヤケ顔になる。月明かりに照らされてまたそれが不気味でたまらない。

 癖のある金髪を揺らし、顎に当てていた人差し指をビシッっと椋に向け


 「明日の試合、完全勝利したらでイイよ!」


 思わず呆気にとられてしまう。


 「ホ…本当にそんなことでいいんですか、先輩?」

 「過去2年一回も完全勝利(パーフェクトゲーム)は起きてないけど、何かあるらしいし、見てみたいんだよね~嫌かな?」


 悪意のない、疑問が飛んで来たためすかさず否定する。 


 「頑張ります!頑張らせてもらいます!!」


 と何度も何度も屋根の頂点に立ち頭を下げる。

 しかし本当にうれしい。自分でも言ったが女性に力づくとは気分がよくない。特に相手は何もしていないのに、こちらの一方的な事情なのだからなおさらだ。

 さらにこの条件を成し遂げる過程で黒崎撃退の任務まで組み込まれている。まさに一石二鳥というやつである。

 

 少々荒々しかったフールも落ち着いてきたようで冷静になり、一言、


 「とりあえず条件は飲ませてもらう。だが、その前に、この話ものすごく脱線してると思うのだが、大丈夫なのか?娘」


 フールを除く3人はヘカテの登場の場面まで記憶をさかのぼる。


 「「「ハッ!」」」


 3人同時に大規模脱線事故を起こしていることに気がつく。大宮は椋に自身の状況を教えるために過去の話をしてくれたのだが、いつの間にかヘカテから力を取り戻す話になってしまっていた。 


 「少し抜けているところも変わらんな…ヘカテよ…娘もお前に似ている…。そして椋…なぜ御前も…」


 そんなフールの悲しそうな目線に顔をそらす。耐えきれない。うん。


 

 「誰だっ!」


 そんなフールの声に反応し誰かが「うぉあ!」と不思議な声を上げる。

 音源は先ほど大宮が下ろうとしていたハシゴの方、誰か登ってきたのだろうか?

 月の向きのせいかその誰かが影になってシルエットしか見えない。

 しかし逃げる様子もなくヨジヨジと梯子を上ってくる音が聞こえるため、とりあえず『移り気な旅人』を解除しフールに戻ってもらい、自らの足で誰が登ってきたのかを確認する。

 よく見るとシルエットは2つ、共に肩幅が広めでどこかで見たことがある……


 「やあ…椋」「うっす、椋」


 見たことがあるどころか声までも聞いたことがある。


 「契?懋?」 

 

 

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