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 一通り自分の行動を恥じたところで、とりあえず麒麟第一寮に帰寮することにした。

 駅の階段を二人下り、電車を待ちながら、少々気まずい時間を過ごす。

 次の麒麟寮行きの電車がホームに到着するまではさほど時間がかからず、二人はさっさと乗り込む。

 それからしばらくはお互いほぼ無言のまま静かな電車に揺られていた。


 「あっ…あのさ!」


 と椋がこの沈黙を破るために必死に声を出す。 

 沙希の顔に疑問符が浮かび、首を傾げている。


 「俺さ…白虎戦のこと、いまいち覚えてないんだけど……どんな感じだった?」

 「覚えてない?どういうこと?」


 本当にはっきりとした記憶がないのだから仕方がない。


 「別のことを考えてたというか……まぁどんな感じかだけでいいんだ。教えて!」

 「何考えてたら、試合のこと忘れるかこっちがききたいくらいよ」


 呆れた顔を浮かべる沙希だったが、質問の答えには少し困ったようで、首を捻りながら、何かを絞りだそうとしている。


 「秒殺?というか瞬殺って感じだったわね。そりゃあもう白虎の子がかわいそうなくらいに」

 「えっ……」

 「えっ、じゃないわよ…。開始宣言と同時に終了宣言が流れてたからね。多分観客全員が目を丸くしてたよ」

 「えっ……」


 「だから、えっ、じゃないって!始まった瞬間に、金田くん?だったかな…、彼が宙を舞って、そのまま気絶。椋はもうスタジオからいなくなってた。って感じかな?どんな風にやったかはわからなくもないけどね…」


 自分でも何となく想像できる光景ではあるが、あまりにも対戦相手に失礼な戦い方だ。

 今度金田に会うことがあれば全力で謝罪しよう。

 沙希の話を聞き苦笑いしながらそんなことを考える椋なのであった。 

 

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