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くじを引いた後は一度控室に戻り、くじの結果が出るのを待つことになった。
今日は10試合中5試合を行うらしい。
部屋には山根と二人でいる。
「でも、まさか5を引けるとはなかなか幸運ね。」
と沈黙を打ち破るように山根が言う。
「どういう事ですか?」
正直意味が理解できず、おもわずきき返す。
「5人のトーナメントで5番って結構有利だと思うんだけど…。考えてみなさいよ、1回戦は1番と2番を引いた人が戦うでしょ?」
「普通はそうなりますね。」
「じゃあ2回戦は?」
「3番と4番ですかね?」
「普通そうよね。じゃあ5番は誰と戦うの?」
という山根の質問についに椋がそれに気がつく。
「それは…連戦を避けるために1番か2番と……!そうか!」
「そう、あなたは他の人と違って対戦相手の情報を先取りできるの。」
「なるほど…。」
そんな会話をしていると、椋のOLが大きな音を立てて鳴る。このタイミングであれば抽選結果が出たのだろう。
通知内容を確認すると、試合の順番がすべて記載されていた。
1日目
①蒼龍VS朱雀 ②白虎VS玄武 ③麒麟VS蒼龍 ④朱雀VS玄武 ⑤白虎VS麒麟
2日目
①朱雀VS白虎 ②蒼龍VS玄武 ③朱雀VS麒麟 ④蒼龍VS白虎 ⑤玄武VS麒麟
それと対戦開始の時間だけ書かれたメールを読み、一度大きく胸をなでおろす。
玄武寮の代表との試合が一番最後という抽選結果はなぜか実に喜ばしいのだ。
いまだにあの気持ち悪い何かが消えないし、なぜか彼とは戦いたくないと心の中で思ってしまっているのだ。
〇~〇~〇~〇
「そろそろ第1試合が始まるころじゃない?」
そういいながら、山根が真っ白な部屋に設置された大型のテレビの電源を入れる。
まだ試合は始まっていないようだったが、スタジアム中央には須山と乙姫が向き合って並んでいる。
テレビ越しでもわかる、会場が緊迫した空気に包まれていているということが。
試合開始の一分前になったところで、司会者が、
『ただいまより、第1試合、蒼龍vs朱雀、開始します!!』




