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会場にはいくつもの控え室があり、椋もそのうちの一室に案内されていた。

 個室のわりには結構な広さがあり、7、8人呼んでも、十分すぎる広さの真っ白な部屋だった。

 部屋においてあった白いテーブルの上には、真っ白な部屋では、結構目立つ少し緑がかった黒色の布の塊、多分制服かなにかだろう。それらしきものがおいてあった。

 所々に麒麟寮のメインカラーである黄色い刺繍が施されており、背中には恥ずかしいほど大きく寮の紋章が刻まれていた。

 再び服を机の上に戻し、連絡が入るのを待つことにした。

 案の定すぐに椋のOLに学園側からの連絡が入り、配布した制服を着て、10分後に案内係を使わせるので準備をしておくようにとのことだった。

 机の上におかれた、制服をつまみ、一度大きなため息をいて、仕方なく着替えを開始した。

 なんだかんだで着てみると自分でもビックリするほどサイズがちょうどよく、見た目以上に動きやすい。異常といってもいいかも知れないほどだった。

 部屋に設置されている鏡で制服を着た自分の姿を確認してみる。

 とても似合っているとは言えないその姿を見て、きれいにネクタイを巻き、一応着こなしてから椅子に座り待機する。


 着替えを終了してから約3分後に部屋のドアがノックされる。

 「迎えに着たわよ、辻井君。」

 と、部屋の外から現れたのは麒麟第一寮寮監山根美弥だった。あまり絡みがあるわけではない。契が火災報知器を鳴らした時に少しお世話になった位だ。

 「準備はできてる?」

 というこちらの返事を待たない質問に、

 「とりあえず服は来ましたよ…。」

 と、少し皮肉な笑みを浮かべる。

 「まあ、我慢なさい、麒麟寮の公式ユニフォームなんだから。」

 「ユニフォーム!?これがですか?」

 こんなみた感じでは完璧に制服にしか見えない服がまさかユニフォームだとは思っていなかったのだ。誰もがそう思うはずだ。なんせブレザーとスラックスで戦えといわれたのははじめてなのだから。

 しかし悪いとは思わない。自分が持っているどんな運動着よりも動きやすいからだ。一体どんな素材を使っているのか気になる程だ。

 「フフッ、そう言えば片山君も昔同じ反応してたわね。」

 「誰が見ても同じ反応しますよ…。」

 「そうかな…?まあそんなことより、時間よ!!」

 時計をみると指定の時間まで後2分となっていた。

 「はい!」

 と快い返事をし、山根の後ろを追う。

 (行こう、フール!)

 『あぁ、勝利を掴みに行こうぞ!!』

 二人は決意を固め、入場門の前に立ったのだった。

 


 第八部 伝統の入寮祭 終

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