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「いや……まさか当たるとは思わなかったな………」
椋以外、周りの4人をふくむホールのすべての人間が大きく沸いた。
自分がこのくじを回避できた安心と、この第一寮から代表が出たという事からだろう。
この学園の事だ、どうせ各寮5人の代表を戦闘させるがどうとかなんだろう。それを生徒の大半が何となく気がついている。
まぁつまり二千分の一の悪運を引き当てたのだ。
はぁ、と一つ大きなため息をつくことしかできないリ椋なのだった。
片山に手招きされ講壇に上る。
「残ね……いや、おめでとう。君、名前は?」
あからさまにワザとっぽい言い間違いをした片山に問われる。
「辻井椋です。今後ともよろしくお願いします、先輩」
あまり素直に喜べる状況ではないため、笑顔が素でひきつってしまう。
「まぁそう落ち込むな。だれかがやらねばならないことなんだ」
そういうと片山が椋の目線の直線上を指差し、言う。
「今から約30秒後にここの映像があのカメラから麒麟寮全土に放映される。突然で悪いが、まぁ頑張ってくれ」
そういうと片山は素早く壇上から立ち去り、講壇には椋一人が取り残されている。
あの片山という3年、見た目からの想像以上に柔らかく面白い先輩なのは理解したが、こういう時は逃げないでほしいものだ。
片山が腕をあげ指を大きくひろげる。
「4!」
といい親指を曲げる。
カウントの意味を理解したホールの生徒たちが、片山に乗っかり、
『3!』
かなり一体感のあるカウントになる。
こちらにかかるプレッシャーは向こうのカウントと反比例して増える一方である。
ついに沙希達までもがカウントに参加し、
『2!!』
という声が椋の耳に届く。
もう心の中で決意を固め目を瞑り、掌をギュッと結び、もう残り少ないカウントを聞こうとする。。
『1!!!』
「ガンバって椋!」
と沙希の声を聴き、パッと目を見開く。
手に少し汗をかいているが、緊張は少し和らいだ気がする。
そしてついに最後のカウントが耳に入る。
『0!!』




