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 「よし、言葉だけじゃいまいち納得できないだろう。今から実践してみよう。そこの君ちょっと来てくれるかい?」

 片山が指をさしたのは先程から質問を重ねていた契だった。

 断る理由もなく、契は立ち上がると人の間を抜け、講壇へと向かった。

 契と片山が並ぶと、少々契が小さく見えてしまう。契も身長が高いとは言えないが、平均より上くらいの身長のはずなのだが、片山の体はそれを感じさせないものだった。

 

 片山は壇上に上がった契に向かい、

 「君、名前は?」

 「永棟契(ナガムネチギリ)です。」

 こちらから見ても少し態度が悪い挨拶ではあったが、どちらかというと片山は彼の名前の方に驚いていた。

 「ほう、今年入学するとは聞いていたが、まさかこの寮に入ってくれているとは。今後ともよろしく。」

 そういうと片山が大きな手を契に向け握手を求める。

 契と握手を交えると、片山の指示に従い、契が指定の位置に着く。

 「みんなはCB(コマンドボイス)05と唱えてくれ。戦闘を目視できるようになる。ちなみに私は今説明のためにいじってはいないが、このCBは自分の好きな言葉に変更できるから暇な時にいじるといいぞ。」

 片山は続けざまに契に言う。

 「行くぞ永棟君。いざ!」

 「「CB03!!」」

 そういうと両者の腕輪から、黄色い靄のようなものが出て、中央ホール全体を包み込む。

 空間が黄に染まり、少し気味の悪い空間に代わる。

 「CB05。」

 周りから次々と聞こえてくるその言葉に椋達4人も続く。

 青い霧が晴れるように視界がクリアになっていく中、講壇の上で契と片山が対面しているのが見える。

 「ほう、ここまで広くなったか……。永棟君は結構な実力者と見た。」

 と片山がボソッとつぶやく。

 「フィールドの広さは変わるものなんですか?」

 という契の質問に、

 「お互いの力がぶつかった時にどの程度物が壊れるだのなんだのを計算した上でフィールドが最低限の大きさに展開されていくんだ。つまりお互いの力が大ききければフィールドもそれに比例して大きくなる。まぁ今回戦闘を行う気はないがな。」

 と素早くこたえた片山に、ここで椋のすぐ横から質問が飛ばされる。

 「この寮土戦はお互いの同意がないと戦闘を開始できないってことですよね?」

 沙希のそんな質問に片山は冷静に答えていく。

 「それはもちろんだ。しかしいつまでも拒否できるわけではない。挑まれた戦闘を一か月に20回以上拒否すると、ペナルティが発生するんだ。」

 「そのペナルティってなんなんですか……?」

 恐る恐る聞く沙希に、片山は真剣な表情で答える。

 「次の一か月間、一切戦闘の拒否ができない、そしてそいつの顔と名前は、寮内だけならず、全校生徒に公表される。これがどれだけ恐ろしいことか君たちは理解できるか?」

 もちろん頭のあまりよくない椋でさえ理解できた。

 もし自分がこのペナルティを受けたなら、確実に領土から一歩も出ないだろう。

 それは本当の死に近い苦痛だろうとわかってしまうからだ。

 

 

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