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「寮土戦では、他寮の生徒と戦闘をし、各寮の戦績によりその月の最後に領土を振り分ける。戦わなければ、生活に必要な最低限の施設しか残らず、勝ち続ければそれだけ施設が充実する。より有意義な学園生活を送るためにも皆で協力する事が必要なのだ」
そういう片山の話を聞いていた真琴がボソっという。
「成る程…、これはかなり効率的ね」
「というと?」
と椋が返すと、真琴がすぐにいう。
「考えてみなさいよ。この学校はなんのために能力者を集めてるの?」
「そりゃ研究のためだろ?」
「そうよ。じゃあ研究者側は生徒に能力を使わせたい訳よね?この寮土戦なら生徒側から自発的に能力を使い、なおかつ能力者同士の戦闘までみられる。生徒側からしたら、学園生活を有意義に送る事ができる。当に一挙両得じゃない」
「おぉ…たしかに!!」
思わず納得してしまう。
しかし、ここで疑問が浮かび、声に出してしまった。
「怪我は……、怪我はどうなるんですか?」
一番の心配はそこだった。そんな無許可戦闘がどんな悲劇を起こすか、いうまでもなくわかりきった事だ。
「そこは安心してもらいたい。理屈は知らんが、OL 装着者が戦闘を行う時、両者がCB03と宣言すると、戦闘用フィールドが展開され、戦闘終了とともにその空間内で破損したものをすべて元通りに修復する。それが人体でも、死なない限りな」
その言葉にホールにいる数人がすでに青ざめた顔をしている。
最後の発言には引っ掛かるところがある。なんでわざわざそんな話をしたのか、気になるが、椋が発言する前に、契がその質問を片山に投げかけていた。
「死者が……出たんですか?」
呆気にとられたような顔をした片山はその後笑いながら言う。
「いやいや、これはただの脅し文句だよ。過去2年で死者何てものは出ていない。回復後も精神的なダメージで苦しんだものはいたがな」
それでも十分恐ろしい話だと椋は思ったが、これ以上続けてもあまり意味はないと思った。
「勝利条件は?」
契の発言に、みんなの視線が片山の口に集中する。
「相手の降参宣言、もしくは相手の気絶、もしくは一定以上のダメージだ」
「一定以上のダメージというのは?」
続ける契の質問に、片山はそう来ると思っていたかのように素早くこたえる。
「個人によって変わる。それこそ育成ゲームのように個々にステータスが変動し、HPもまったく同じものなんて存在しない。これといってはっきりといった定義は存在しないんだ」
そんなはっきりとしない回答で、うやむやにされ、契は先程の愚行を忘れたかのように真剣なまなざしでこの寮土戦について考えているようだった。




