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 「……ん、同室の人かな?」


 そういいながら、新田と思われる男は振り返り、礼儀的なあいさつをする。

 柔らかい表情のまさにいい人ポイ顔、高校生には見えなかった。


 「僕新田って言います。これからよろしく」


 そういいながら軽く頭を下げてくる。

 その優しそうな声がまた椋の調子を狂わせる。


 「いや!…はい!辻井って言います!よろしくです!はい!」


 テンパっているというよりかは、言葉が出てこないといった感じの挨拶をしてしまう。

 それを後ろから見ていた懋と契が腹を抱えながら爆笑している。


 (こいつら!!)

 「ハァっ、椋…緊張しすぎ!ハァっ…ハァ…」


 と笑いをこらえながら、契が椋の肩をつかんでくる。

 ふぅ、と大きく深呼吸をし笑いを収めながら、


 「僕は永棟、こっちが田口。向かいの部屋だからよろしくね!新田君」


 そういっている契に続くように懋がこちらの部屋に顔をだし「ちっす!田口っす」といって二人とも部屋に侵入してくる。

 新田が二人にも頭を下げ、お互いに挨拶を済ましたところで、とりあえず部屋の散策をしようという事になった。10畳くらいの広さの部屋には両脇にベッドが1つずつ、部屋の中央にはテーブルが設置されており、卓上には先ほどまで新田が食べていたのであろうお菓子が散在している。


 テーブルの上には菓子の他に2つの黄色い腕輪のようなものがおかれており、手にとってそれを眺める。

 輪は結構広く、椋の腕ならはめても落っこちてしまいそうなほどだったが、とりあえず腕にはめてみる。

 掌を通り手首に到達した所で、突然腕輪がキュッとしまり、心地よいほどに腕にフィットする。


 「これがオブザーバーライセンスだね」

 「オブざ………?なんですかそれ?」

 「校長先生の話聞いてなかったのかい?それとそんな堅苦しいしゃべり方をしないでね。これから一緒に生活するんならなおさらね」

 そのまま新田は続ける。


 「オブザーバーライセンス、通称【OL】この学校で使える学生証とか兼ねてるって言ってたあれだよ」


 同時に腕輪を装着した新田が、親切にもあからさまに疑問の表情を浮かべている椋に説明を始めてくれた。


 

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