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 しかし、そんな心配はすぐに消えていった。

 目の前に表示されているくじ引き用の画面には、

 【特別権限によりくじ引き不要。入寮先は自由にお決めください。申請期間は今日中でなければなりません。申請がなければ、こちらが再びランダムに抽選を行い振り分けさせていただきますのでご了承を】

 と表示されていた。

 

 くじ引きの下に添付されているデータを展開すると、そこには各寮の大まかなデータが記されていた。

 蒼龍、朱雀、麒麟、白虎、玄武というあまりにも定番的ながら、5つに分けるなら一番手っ取り早いであろう名前だ。

 最後の方にはしっかりと、(外国の神とは関係ありません)的な文面が記されている。

 

 それぞれはシンボルと色の違いに過ぎず、表示されているデータを見る限りでは正直どこでもいいと思っていた。

 椋達五人はボソッとした声で会話を始める。


 (どの寮にするよ…)


 との椋の問いに、真琴がつまらなそうな顔をしながら答える。


 (見てる限りじゃ、特に変化はないんだし、どこでもいいわよ…)

 (じゃあ皆で同時にどこに行きたいか言ったらいんじゃない?…)


 沙希の意見に賛成し、


 (((((せーーーの…)))))

 (玄武だね!)(麒麟かな。)(蒼龍!)(白虎ォ!!) (朱雀)


 契、沙希、椋、懋、真琴の意見が見事なほどに不一致する。


 (((((……………………………)))))


 暫くの沈黙の後、真琴がいう。


 (アタシが眠ってる間に椋、アンタが報奨を決めたんでしょ?最後までアンタがやり通しなさいよ…)


 明らかに面倒事を押し付けたいだけのような声が椋に迫る。


 (皆もそれでいいわね?)


 真琴が他の三人に確認をとると、皆が首肯をしたため、視線が椋に集中する。


 (……じ、じゃあ…この中央にある麒麟寮で…)


 正直にいうと、沙希が選んでいたこともあるし、麒麟のイメージが、何となくだが『光輪の加護』と重なったからでもあった。


 (……ダメかな?)


 回りからの反応があまりにも薄いので、つい聞いてしまう。


 (いや、そんなことないよ?けど、逆にどう反応したらいいか解らないだけだよ)


 とフォローしてくれる沙希に続き、真琴が四人にいう。


 (決まりね。じゃあ麒麟を選んで学校に送るわよ?)


 四人からの首肯をもらった真琴が送信ボタンを押すと、

 【申請を受け付けました。登録完了まで暫くお待ちください。】

 暫くと言ったがほんの数秒後に五人の携帯にメールが届く。

 マナーモードのため、音声はならなかったが、五人は携帯を確認し、内容を確認する。

 【麒麟寮への加入申請が完了しました。部屋番号とパスコードを添付しておきますので、初期利用時にご活用ください。】

 静まり返る会館のなかで、五人がそれぞれ、静かなハイタッチをしあった。



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