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〇~〇~〇~〇

 2062年4月14日


 この日のために用意してきた、服や日用品やらを詰め込んだ大きめのキャリーバッグを持ち上げ、玄関前に立つ。

 靴紐を結びながら、母の話を聞く。


 「向こう側には迷惑をかけないように、それと月に1度でいいので生きているかを知らせてください」


 いろいろ言われたが、最後に言われたこの二つぐらいしか記憶にない。

 それにしても彼女はよくしゃべるようになった。無理をしているんじゃないのかと思うほどに。


 「わかったよ、母さん。じゃあ行ってくるね」

 「気を付けて」


 そう別れの言葉を交わすと、椋は玄関の扉を開け、契の待つ駅まで向かうのだった。

 今日、沙希は「最後に真琴と買い物に行ってくるね。女の子同士の買い物なんだからついてこないでよね!」(別にいきたいとは一言も言ってないのだが。)とのことで、沙希に真琴と数駅先のショッピングモールまで行っているらしい。

 椋は事前の準備は完璧だったため、特にすることもなく、指定された時間に間に合うギリギリの電車に載り、港に向かう予定を立てたのだ。


 駅に到着すると、契がこちらに大きく手を振ってくる。


 「おはよう!椋!」


 と周りを気にしない大声で契が椋を呼ぶ。


 「あ…あぁ」

 と苦笑いをし、少々周りを気にしながら手を振リ返す。普通の高校生の男友達というのはどんなものなのかいまいちわからない椋にとっては不慣れで、まだどういう風に付き合っていったらいいのかが分からないのだ。

 小学校の途中から中学校まではずっと男友達なんてものはいなかったのだから。

 

 ブンブンと頭を横に振り、


 「契!」 


 と大きく叫んで、彼のもとに走っていく。

 これの方が椋にもしっくりくるのだ。

 

 実際、時間に余裕を持って行動していたため、10分ほど暇になってしまったが、契と会話をしていると、そんな時間ぱっと過ぎてしまった。

 

 途中の駅で沙希と真琴も合流し、会話ははずむ一方だった。

 

 途中何度か裏切られたような気分にはなったが、今日この日が椋にとっての終わりであり始まりなのだ。

 もう決して失いたくない日常がこれから始まる。


 第7部 花車学園入学式 終



 

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