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 開始の直前に会場にあった食事などはすべて撤去され、暴れても大丈夫なようにセッティングされていた。

 大抵のグループは結成されると固まってどこか違う場所へ移動していた。

 パーティー会場では先程までの賑やかさがまるで嘘だったかのように静寂に包まれていた。

 そしてその会場を椋達は拠点としている。

 

 このチームの要になるのはもちろん真琴である。

 彼女の手にかかれば大抵の人間の位置が捕捉できる。奇襲はもちろん不意打ちまで対応できる。

 もちろん一番狙われやすい位置ではあるが、その分戦いやすいのである。

 

 静けさが続く中、5人の携帯が同時に鳴った。3分ごとに送られてくる定時連絡だ。

 残り人数が237人、チームはまだ50残っている。

 沙希が眉をしかめながら言う。


 「3分で13人か……。思ってたよりちょっと多いね」

 「まぁ人数多いんだから最初はそんなもんなんじゃない?」


 と沙希に言葉を返しながらも、自身の右側にある扉を指さす。

 5秒ほどすると、扉が勢いよく開かれ男子3人、女子2人の5人グループが固まって突入してくるが椋と沙希二人で、まさに瞬殺してしまう。

 椋は5人の中心に瞬時に跳躍し、自身の後ろにいる男子二人に両肘でそれぞれ一撃加え、そのまま右手を前に突出し正面にいた奴男子に殴り掛かり合計3人を気絶させる。

 さすがに力を抜くとはいっても女子を殴るのは気が引けるので、男子だけにしたのだ。

 その間に沙希が『激痛の拷問具プレジャー・トーチャー・モード・ハゲタカの娘』を使い残る2人を拘束する。

 動けない状況で悶えている女子2人に沙希が両手にデコピンの構えを取り、笑顔でそれぞれ一撃ずつ入れる。

 ほんの10秒足らずで戦闘が終わり、沙希が『ハゲタカの娘』を解除すると真琴以外のメンバーで倒れた新入生たちを丁寧に運び安全な場所で寝かせておく。

 

 

 「早くして!次来るわよ!」


 という真琴の声に反応して、契が一歩前にでる。彼の指にはそれぞれ1つ、計10個の指輪が装着されている。

 すべて同じ形をしているが、それぞれ微妙に色が違う。

 契がゆっくりとしゃがみこみクラウチングスタートの姿勢を取る。

 契の右手の中指の指輪と左手の薬指の指輪が発光し、2秒と経たずして消えた。

 

 扉が開き会場に3人ほどが突入してくる。

 それとほぼ同時に契の足の裏で小規模な爆発が起き、契がその推進力を使い相手に猛スピードで突進していく。

 少しだけインターバルがあいてしまったため、相手が契の動きにある程度反応し、相手が放った炎が契に向かってくる。

 直線的に向かってくるその炎を顔の位置をずらしギリギリのところでよけ、そのまま勢いよく相手の足元に滑り込む。

 炎を飛ばしてきた奴に当たり判定が生じそのまま気絶し倒れこむ。 

 契はそんなことを気にする様子もなく、滑り込み姿勢から立ち上がる動作時にもう一人に肘で軽く一撃を与え、そいつを吹き飛ばすことによって後ろにいたもう一人を道連れにして合計3人を蹴散らした。

 能力らしきものは最初の小規模な爆発しか使っていなかったが、それ以外をすべて体術だけで倒したのだ。

 

 その戦闘を見た3人が思わず拍手をしてしまうのも納得できる光景であった。 

 

 

 


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