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 フールとの会話を終え、椋はもう一度だけGという文字をタッチする。

 腕輪全体が光を放つ。

 この前『愚かな捕食者』(フール・イーター)を使った時とはまた違う感覚が全身をつつむ。

 あれは内側から力がわき出てくるような感覚だが、これは体力というか精気が体外に流れていくような感覚だった。何せ齢15にして初めて使用したのだ。斬新な感覚である。


 ほかのと4人と同じように、光が椋の全身を包み込みそのまま吸収される。


 本来人工結晶はしばらくトレーニングしないと初めのうちはうまく使えないものなのだが、暫くはフールがエネルギーの流れを操作してくれるのらしいので、今のようにちゃんと発動したのだ。


 しかし、現象が終わっても身体に何の変化もない。


 「これは……いったい?」


 と椋が他の4人に意見を求めようとするが、皆一同に首を横に振った。

 世間一般常識として、知らないものは使わないのが普通なのである。

 人工結晶内にプログラミングされたものがどんな内容かわからないというのは、案外使ってる側として恐ろしいものである。

 

 その後数分が経つと再び放送が流れる。


 【そちらの人口結晶には、衝撃感知、衝撃倍増、強制起床の3種類の効果が登録されております。衝撃感知により当たり判定とみなされた場合、衝撃倍増により、ほぼ確実に気絶することになります。最後の1グループが決定次第、強制起床により気絶していた全員が目を覚ます、という仕組みになっております。】

 この放送が言う『当たり判定』とはどの程度のことを言うのだろうか。少しかすっただけでもそれは当たりなのか気になるところだが、まだ船内放送は続く。


 【現在会場には250人、つまり50組のグループが存在します。お互いの位置を確認することはできませんが、3分ごとにメールでチームの残数の報告などをさせていただくので、ご御確認ください。】


 それを告げるとともに5人の携帯が鳴り響く。

 椋も自分の携帯を確認する。

 8時15分に開戦、制限時間なし、チーム番号は27番。

 現在の時刻が8時11分なので3分と少しで始まるのだ。


 せっかくこういう催しに参加するのなら優勝を狙いたいと椋は思った。


 「みんな!勝ちに行こう!」


 そういうと4人が大きく頷き、それぞれが能力を展開し戦闘隊形に入っていく。

 椋が右手を伸ばすと、その上に沙希が、その上に真琴、契、懋の順に手を重ねていく。


 「行くぞぉ!」


 と左手を懋の手の上に重ね、勢いよく下に押し込む。


 「「「「オー!!」」」」


 と4人が揃えて気合を入れると同時に時刻は8時15分になった。

 

 

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