プロローグ
【プロローグ】
この世界には異能者が存在する
最初に異能者が認知されたのは確か36年も前の話だ。
2036年の8月、その日は全国の幼稚園児を招いたとあるイベントが行われていた。
まったく平和な話ではあったが、そんな平和は一瞬にして壊れてしまう、途轍もなくもろいものである。
イベントの終盤に園児400人を人質とした、立てこもり事件が発生したのだ。
犯人グループの要求は、現総理大臣のとった行動によって起こってしまった政治不安の責任を取って辞任しろ、というものであった。
国の責任者1人の後退と、未来のこの国を支える400人の幼い子供たちの命を天秤にかけたのである。
しかし国は指定された時間が来ても、向こう側の要求には一切答えないという姿勢を示した。
犯行グループのリーダーは、これに怒り、人質の保育士一人を殺害。事態は最悪のシナリオを描いていた。
犯行グループがもう一度、辞任を要求してきた。
そして国は子供たちを見捨てた。
犯行グループリーダーは子供を3分に1人ずつ殺害していくと宣言。
予告通り、死体の山ができていった。
しかし、宣言から約一時間後、事件は急展開を迎える。
ある一人の男がドームの天井を突き破り、強引に侵入、犯行グループのリーダーを襲撃する。
男はリーダーが撃ってきた銃弾をすべて手で握りつぶし、場の空気を一気に変えた。
が、それがリーダーを挑発することになった。
やけになったリーダーは子供たちに向かって銃を乱射し、さらに被害者を増やそうとした。
立ち上がる煙幕の中には、子供たちの無残な死体ではなく、無傷の男が右手を前に突き出して憤怒の表情を浮かべながらその場にたっていたのだ。
男が何かを口ずさむと、リーダーの男は後方へ吹き飛び壁に激突、意識を失いその場に倒れこんだ。
その後、残るメンバー全員を縛り上げ警察に突出し事件は終息に向かったのだ・・・。
その時の出来事を忘れられずに、永棟久史は男の能力について、様々な観点から調べ上げた。
その時、男が使用した能力のことは、結局わからずじまいではあったが、男が使用した能力をもとに研究開発を重ねた末に、ある歴史を変えるようなものを、生み出してしまったのである。
人口結晶。人の手によって作られた人ならざる能力を発動するための道具。
誰もが夢物語だろうと思っていたものを、久史は他の研究員2人と作り上げてしまったのだ。
その日を境に世界は大きく歪み始めてしまうとも知らずに…。